妻がいることを隠して女性と交際。。交際相手からの慰謝料請求はどうなる!?

女性と交際をして、そして結婚に至らずに別れる。 こうしたことはこの世界におびただしい数行われています。

しかし、それを既に結婚している男性が行った場合はどうなるのでしょうか。

平成27年1月7日に東京地方裁判所が判決をした事件は、結婚をしている男性が、妻との関係を改善させようと試みていた一方で、既婚であることを隠しながら交際していた浮気相手の女性とも、その関係を継続させようとしていた事案でした。

裁判所はこの男性に対して、次のように述べて、100万円の慰謝料をその交際相手に支払うよう、命じました。

被告(男性)は,平成23年春以降,妻との関係を修復する一方,その間,原告(女性)から別れ話を持ち出されても,「大切なX1ちゃん」「愛しているよ」などとメールを送り,原告(女性)との性的関係を維持することを望み,被告(男性)が結婚を念頭において原告(女性)と交際していることを知りながら,既婚者であることを隠し,虚偽の事実を述べ,結婚を望む原告に対しても曖昧な態度をとり続け,原告との性的関係を続けたものである。このような,被告の一連の言動は,遅くとも,被告が平成23年3月の東日本大震災を契機に配偶者との関係を修復し,妻との性交渉を持った平成24年5月以降は,原告に対する関係で,その人格権を侵害する不法行為を構成するというべきである。

独身女性(もちろん、女性にかぎらず男性も同様です)は、交際相手の独身男性と、将来も共に過ごしたい、このような期待を抱きます。

そして、その「期待」というのは、法的に保護されるものです。

裁判所は、そうした期待を裏切る行動を、「人格権を侵害するもの」と非難したのです。

 

もっとも、男女が結婚に至らず別れるというのは通常です。

その女性側の「期待」を法的に保護するには、男性の行動がより不誠実で悪質とみなされるものでなくてはならないでしょう。

 

具体的には以下のようなポイントが考えられます。

  1.  結婚していることを伏せていること
  2.  離婚予定であると嘘を付いていること
  3.  女性との交際期間
  4.  女性と性交渉に至っているかどうか
  5.  女性との結婚を真摯に考えていたものかどうか

これらのポイントを総合的に考えて、最終的に女性の人格権を侵害する不法行為にあたるのどうか、そして慰謝料の金額を、裁判所が決めることになるでしょう。

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先の平成27年1月7日の東京地方裁判所は、最終的に100万円の損害賠償額を判断しました。

被告(男性)が原告(女性)と交際中に妻との関係を修復しながら,原告(女性)からの別れ話に対しては,あたかも原告(女性)との将来の生活を考えているかのようなメールを送って原告の心を引き止め,妻からのメールも妹からのメールであると虚偽の事実を告げるなどして,原告との関係を維持しようとするなど不誠実かつ身勝手な態度をとっていたことその他の本件に現れた一切の事情を考慮すると,本件不法行為により原告が受けた精神的損害を慰謝するための慰謝料としては,100万円が相当であり,本件不法行為と相当因果関係のある弁護士報酬相当の損害は10万円をもって相当と認める。

ここでは、単に結婚していたことの事実を隠していたことよりも、女性からの別れ話を拒否し、むしろ騙しながら交際を続けようとした、女性を利用した悪質性が重視されているといえます。

 

交際期間も短く、単に結婚の事実を黙っていただけという場合は、不法行為自体成立しない可能性も十分にあるでしょう。

慰謝料請求を認めてもらうには、単に結婚の事実を黙っていたことより一歩進んだ、「悪質さ」が必要といえます。

弁護士青木
弁護士のホンネ

こうした既婚男性と独身女性のトラブル話は実のところ多くあり、弁護士の元に相談に来られる方々もいらっしゃいます。

男女の交際は自由であることが原則で、自分の現実を隠しながら微妙な駆け引きを行うこともある程度は許されなければなりません。

それが原則です。

もっとも、恋愛の先に結婚を見据えることも当然あり、その期待は尊重されなければならないというのが現在の裁判所の考えといえます。

ただし、恋愛において自由に駆け引きができるという原則は原則としてありますので、結婚への期待を裏切るような「悪質さ」がなければ、慰謝料は請求できない。

それを判断したものがこの判決といえるでしょう。

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