
横浜の弁護士の荒木です。
離婚弁護士として法律相談を受けていると、このような男性からの悩みを数多く聞きます。
ご存知の通り、協議離婚や調停離婚では、夫婦双方が離婚に合意しないと、離婚をすることはできません。
それでは、どうすれば離婚に応じない妻を、離婚に応じさせて、新しい人生のスタートを切ることができるのでしょうか。
1.まずは妻が離婚に応じない理由を知る。
まず重要なことは、妻が離婚に応じない理由を知ることです。
妻が離婚に応じない理由の代表的なものは、
子どものために離婚したくない。
…子どものために離婚することが本当にプラスなのかもう一度考えてみましょう。
そして、夫婦仲を修復できる可能性があるのか、夫婦仲が悪い状態で子育てを継続するのが望ましいのかしっかり考えましょう。
離婚したあとの生活が不安。
…養育費や財産分与、慰謝料などを気前よく支払う覚悟ができてますか?
お金で解決できるのか、それともあなたが支払うことができる以上のお金や、相場以上のお金を望んでいるのか、確認しましょう。
相場の金額は、弁護士に相談しましょう。
夫に対する未練がある。
…それでも、あなたの気持ちが切れてしまっていれば致し方ないです。
夫の思い通りにさせたくない。
…実はこのような感情的な問題が、一番厄介だったりします。
妻が離婚に応じない理由に応じて、戦略は変わってきます。
まずは敵(妻が望んでいること)を知り己(自分ができること)を知ることから始まります。
2.どうしてもダメならまずは別居しよう。
それでも、話し合いがつかない場合はどうすればいいのでしょうか。
ご存知の通り、協議離婚や調停離婚では、妻が離婚に合意しない限り、永遠に離婚することはできません。
そして、あなたが今妻と同居しているのであれば、裁判でも離婚をすることは基本的には難しいでしょう(不倫の確たる証拠がある場合など除く。)。
なぜなら、裁判で離婚するには、離婚事由というものが必要であるからです。
離婚事由は、不貞行為(妻の不倫です。)や、悪意の遺棄(なかなか認められません)、3年以上の生死不明(同居しているなら生死は明らかでしょう)、強度の精神病(これもなかなか認められないんです)などの事情を、あなたが裁判所に対して証明する必要が有ります。
これらの事情がない場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるかどうかで判断しますが、この「婚姻を継続し難い重大な事由」は、長期の別居期間(おおむね5年以上)があるか否か重要な基準になります。
すなわち、5年以上別居していれば、妻との話し合いがまとまらず、妻が離婚を拒み続けたとしても、裁判で離婚できる可能性が高まるのです。(また、最近の裁判例は離婚に必要な別居期間を縮小していく傾向にあります)
そして、これは協議離婚や調停離婚でも、妻にプレッシャーをかけることとなります。
すなわち、妻の要求を飲まなくても、夫側は5年別居を継続すれば、裁判で離婚を求めるよというプレッシャーをかけることができるのです。
また、別居し、夫婦双方距離を置くことで、自分たちの置かれた状況を再考するという効果もあります。
そうですから、まずは別居することをおすすめします。
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3.それでもダメなら調停を申し立てよう。
別居をしたら、離婚調停を申し立ててみましょう。
その場で、妻の言い分や希望を聞いて、折り合いがつければ調停で離婚をすることができます。
もし折り合いがつかなければ、離婚調停は不成立になります。
4.それでもダメなら裁判を提起しよう。
もし離婚調停が不成立になった場合、あなたには離婚裁判を提起するという方法があります。
妻の不倫の確たる証拠があるのであれば、調停不成立後速やかに裁判を提起した方が良いでしょう。
他方で、そのような証拠や事情がない場合には、別居期間が短いと、裁判で負けてしまう=離婚が認めてくれないというリスクはあります。
そのため、別居状態をしばらく継続するか、それとも負けるリスク込みで裁判を提起するか、法律的な見通しも含めて弁護士にご相談されることをおすすめします。

男性のお客様から依頼を受けて、妻側に離婚の打診をした場合、離婚に応じないと回答を受けることは多々あります。
今の裁判所の実務では、不倫などの確たる証拠がある場合を除き、ある程度長期の別居期間がないと、「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められません。
そのため、妻としては、同居中や別居まもないとき、夫から離婚の打診があった場合、「離婚に応じる」こと自体が、交渉のカードになるのです。
そうですから、妻側としてはホンネでは離婚したいとしても、駆け引きの一環で、離婚に応じないという態度をとることもあるのです。
もちろん、本当に、妻側が離婚を望まず、復縁を希望していることもあります。
弁護士としては、こうした妻のホンネを探り、駆け引きで離婚に応じないのか、本当に復縁を望んでいるのか見極めることも非常に重要になるわけです。