中学受験の挑戦で破綻する夫婦関係【弁護士の解説】

はじめに:中学受験が夫婦問題の引き金になる時代

当事務所では、離婚相談に訪れる依頼者の家庭環境を独自に集計しています。
その結果、「中学生の子どもがいる依頼者のうち約70%が私立中学に通っている」という、社会全体の平均を大きく上回る数字が得られました。

全国的には私立中学への進学率は約89%に過ぎません。
しかし、当事務所に相談に来られる方はその約8倍です。

これは、

  • 中学受験に挑む家庭は教育への熱量が高く
  • その分、受験をめぐる夫婦のすれ違いが深刻化しやすく
  • 最終的に離婚問題へ発展しやすい

という傾向が、統計的にも確認できるということです。

以下では、夫婦関係を悪化させるパターンを示すとともに、離婚問題に至った場合に解決すべきポイントや、関係修復のためのポイントを解説します。

1 中学受験が夫婦関係を悪化させる典型パターン

教育方針の違いが顕在化する

中学受験は、子どもの生活のすべてを巻き込みます。
受験の開始時点では夫婦が同じ方向を向いていても、次第に価値観の違いが明らかになり、衝突に発展しがちです。

  • 「絶対に私立一貫校へ入れたい」
  • 「子どもが望んでいないのに受験させるのは反対」
  • 「公立で十分」vs「手厚い私立教育を受けさせたい」

このような対立が、夫婦仲を大きく揺さぶります。こうした価値観は、夫婦それぞれが受けてきた教育環境や、逆に経験してこなかったことの反動から来る焦りなど、さまざまな要因から形作られるものです。

勉強サポートの偏りによる不満

多くの家庭で、母親が宿題管理・塾の際の弁当作り・送迎を担い、負担が過重になっています。

一方で、父親はもともと私立受験には積極的ではなく、受験に関与しなかったり、逆に子供以上に本気になり過剰に干渉し、ストレスが蓄積するケースもあります。

  • 自分ばかりが動いているという不公平感
  • 叱責やスパルタ方式をめぐる価値観の衝突
  • 子どもの前での口論

といった状況は、夫婦関係を急速に悪化させます。

教育費をめぐる金銭トラブル

私立受験・私立進学は、年間100〜200万円以上の負担が見込まれます。とりわけ、昨今の過激化する中学受験環境で、各受験塾が、さまざまなコースを用意して課金を提案してきます。

親のどちらかに焦りや不安があるほど、課金への意向が強くなり、もう一方の親はそれに対して懸念し始めます。よくあるのは、課金の狂気に走った妻が、夫に次から次へと費用の負担を要求するケースです。

そして、家計への負担が大きくなるほど、不満も増幅されやすいです。

  • 「なぜそんなにお金を使うのか」
  • 「塾代はどちらが負担するか」
  • 「家計が受験優先になりすぎている」

という金銭面の衝突が後を絶ちません。

子どもへの接し方をめぐる対立

そして、中学受験期は、成績や模試の結果に親も過敏になります。
叱責がエスカレートすると、子どもの精神が不安定になり、夫婦が互いを責める負の連鎖に入りやすくなります。

2 離婚・別居に発展する典型的なケース

当事務所の相談でも、次のような状況から別居に踏み切る方が多く見られます。

夫の過度な叱責・暴言

勉強をめぐる子供への圧力が過剰に強まり、妻が「子どもを守りたい」と感じて子供を連れて別居するパターンです。

課金の連続による家計崩壊

妻が子のための塾代・家庭教師代を夫に次から次へと要求し、家計管理が破綻するケースです。

「受験が終わったら離婚」と決めていた

受験期のストレスを我慢して、合格発表後に一気に離婚に向けて舵を切る方も多いです。

3 弁護士が解説:離婚を考えるときの重要ポイント

それでは、中学受験をきっかけに離婚に向かう場合に重要となるポイントを確認しておきましょう。

親権・監護権

別居する場合、日々の生活と学習管理を担ってきた親が、監護者として有利に働くケースが多いです。
親権も同様であり、塾費用を全面的に負担していたからといって、親権や監護権争いにおいて有利になるわけではありません。

面会交流

中学生は部活・塾で予定が詰まりやすく、柔軟な面会スケジュール設計が必要です。第何何曜日の何時から会う、というよりは、別居する親と子供が直接連絡を取り合って、柔軟な形で交流できるように調整することも大事になります。

教育費(私立中の費用)

離婚後も、私立中学の学費・塾代・教材費の分担は極めて重要です。
「誰がどこまで負担するか」は離婚協議書・調停で明確に定める必要があります。

4 夫婦関係を壊さないための対処法

夫婦関係が完全には破綻し切っておらず、まだ改善の余地があるのであれば、次のことを心がえると良いでしょう。

役割分担を明確にする

受験の中で誰がどの負担を担うのかを曖昧にしないことが、衝突を防ぐ第一歩です。

例えば、

母:宿題管理、塾弁、毎日の声かけ

父:送り迎え、模試結果の確認、金銭(選択するコース)管理

のように、具体的に決めておくことが重要です。

コミュニケーションのルールを作る

受験ストレスが高い時こそ、最低限のルールを決めることで衝突を減らせます。

  • 子どもの前で口論しない
  • 感情的な発言は避け、事実ベースで話す
  • 週に一度、受験の進捗を話し合う時間を作る

子どもの精神状態を最優先に

受験は重要ですが、子どもの精神状態を損ねてまで続けるものではありません。
塾の先生や学校の担任とも相談し、子どもに過度な負担がかかっていないか、定期的に見極めることが必要となるでしょう。

弁護士のホンネ

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中学受験は家族の大きな挑戦です。子供によっては、その結果によって大きく進路が定まることもあるでしょう。

しかし、夫婦関係が破綻してしまっては本末転倒です。高校受験や大学受験、さらにその先の資格試験など、子どもの可能性はどの段階であっても常にオープンです。

もし間に合うのであれば、家庭が危うくなる前に、現状を見つめ直していただくのも良いでしょう。

しかし、いよいよ夫婦関係が破綻してしまった場合は、お子様に極力負の影響を与えないよう、専門家のアドバイスを受けながら夫婦関係の解消に向けて手続きを行いましょう。

当事務所でも、教育問題が絡む複雑な家庭事情にも対応し、ご相談をお受けしています。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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