離婚した後も自宅に住み続ける方法を解説します!

プロキオン法律事務所弁護士の山﨑慶寛です。

離婚をする際に問題となることを2つに大別すると、子供の問題と、資産の問題です。

(参照:【保存版】これで完璧!離婚のときのお金・財産分与の基礎知識

今回は、特に自宅不動産の財産分与に関して、

自宅不動産の財産分与に関する重要な知識

離婚後も自宅不動産にそのまま住み続ける方法

を解説します。

専業主婦でも自宅不動産の半分をもらう権利がある!

財産分与とは、夫婦が結婚生活の間に築き上げた財産を、離婚のときに夫婦ぞれぞれに分配することを言います。

裁判所の運用上、仮に一方の配偶者が全く仕事をしていなかったとしても、余程例外的な事情がない限り、夫婦の総資産の2分の1の分配を受けることができます。

例えば、自宅不動産の所有権名義は夫にあり、妻は無職(専業主婦)であって、自宅不動産の頭金もローンも一切負担していなかったとしても、離婚する際には妻にも自宅不動産の価値の2分の1を受ける権利があります

離婚した後も自宅に住み続ける方法

離婚後は自身の単独名義となるようにしよう!

自宅不動産の財産分与は、概ね以下の2通りのいずれかの方法で行われます。

① 自宅不動産を売却して得た金銭を2分の1ずつ分ける方法

② 自宅不動産を夫婦のいずれか一方の単独名義とした上で、所有権を持たない配偶者に清算金を支払う方法

①の方法はとてもシンプルな方法であり、自宅不動産を実際に売却し、ローン残高や売却手数料を差し引いて手元に残ったお金を夫婦で2分の1ずつ取得する方法です。

ただ、この方法だと、離婚後に自宅不動産に住み続けることはできません。

離婚後も自宅不動産に住み続けたいと考えている場合は、②の方法で自宅の財産分与を進めることを検討するべきです。

具体的には、自宅不動産の所有権名義が自身の単独名義となるようにしつつ(相手が所有権名義人である場合には所有権名義を自身に移転してもらう必要があります。)、他方配偶者にその分の清算金を支払うことになります。

こうすることにより、離婚した後も自宅に住み続けることができます。

 

ただし、住宅ローンが残っている場合は、自宅不動産の所有権と同時に住宅ローン債務も借り換えなどの方法により事実上引き継ぐ必要があることが多いです(そのような条件でなければ、相手が合意しないことが多いでしょう。)。

 

なお、実際に他方配偶者に支払う清算金の金額は、特有財産などの事情により単純に2分の1とされるべきではない場合もあります。

そのため、実際にこの方法で財産分与をする際には、清算金の金額について専門家にご相談されることをお勧めします。

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相手がどうしても自宅不動産の所有権を渡そうとしない場合

原則

相手が自宅不動産の所有権を渡すことを頑なに拒否している場合や、住宅ローンを引き継ぐことができないなどの事情があって自宅を単独所有とする合意ができない場合もあります。

このような、夫婦で自宅不動産の分与方法の合意が成立しない場合には、最終的には裁判所が自宅不動産の分与方法を決めることになります。

そして、裁判所が決める場合、裁判所は財産分与の方法として金銭の支払いで処理する(離婚時に所有名義人である配偶者にそのまま所有権名義を認めた上、他方配偶者に対して金銭の支払いを命じるなど)ことが多いです。

そのため、裁判所が決めることになった場合は、離婚した後も自宅に住み続けることが困難な場合が多いです。

例外的に離婚後も住み続けることができる場合

裁判所が所有権の移転を認める場合もある!

相手に悪意の遺棄などの大きな帰責性が認められる場合や、自宅不動産に離婚後も住み続けることができなければ生活ができなくなると考えられる場合などの場合は、裁判所もそのような事情を考慮して、財産分与の方法として自宅不動産の所有権の分与を認める場合もあります(浦和地裁昭和60年11月29日判決など)。

裁判所がこのような財産分与の方法を採用することは極めて稀ですが、あり得ないわけではありません。

※なお、悪意の遺棄について詳しくは、【厳重注意】離婚したいのであれば絶対に「悪意の遺棄」をしてはなりません!

離婚後も住み続ける権利を得られる場合もある!

裁判所に自宅の所有権までは認めてもらえなかったとしても、裁判所に自宅の利用権を設定してもらえる場合もあります。

①浦和地裁昭和59年11月27日判決

裁判所は、夫名義の自宅不動産について、夫は離婚した後に住み続ける意思がないこと、妻には婚姻関係の破綻に責任がない(婚姻関係の破綻の責任は夫に帰すべきである)こと、妻の離婚した後の生活のためには当分の間自宅不動産の利用が不可欠であると認められることから、以下の内容の賃借権を設定しました。

・賃貸人 夫

・賃借人 妻

・期間

離婚の日から昭和70年6月12日まで(※なお、判決年月日は昭和59年11月27日です。)

但し、賃借人は賃貸人に3か月前に通知して解約することができる。

・賃料

月額6万円

毎月末日当月分払

賃貸借期間中増減額しない。

・特約

夫は妻のため賃借権の不動産登記をすべきとする。

②東京高裁昭和63年12月22日

裁判所は、婚姻中の双方の事情を検討した上、離婚後の扶養的な趣旨をも考慮に入れて、妻が住んでいた夫名義の自宅不動産の所有権を妻に分与し、かつ、その敷地に対して使用貸借権を設定しました。

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③名古屋高裁平成18年5月31日決定

裁判所は、清算的財産分与として妻と子が住んでいる自宅不動産の妻の共有持分を夫に分与して夫の単独所有とした上で、離婚した後の夫婦の経済的な状況(収入格差等)を考慮し、扶養的財産分与として、以下の内容の使用貸借権を設定しました。

・貸主 夫

・借主 妻

・期間

平成11年6月4日から平成19年3月31日まで(※離婚日から末っ子が小学校を卒業するまで)

・借主が負担する費用

水道料金を含む共益費、駐車場使用料及び光熱費

※なお、使用貸借権でありますから、賃料の負担はありません。

④名古屋高裁平成21年5月28日判決

裁判所は、清算的財産分与として妻と子が住んでいる自宅不動産(妻と夫の共有)について妻の持分は妻の特有財産として妻の取得を認め、夫の持分は夫に取得させた上で、夫の不貞行為及び悪意の遺棄が認められる夫側に極めて帰責性が強いことや、夫が将来取得し得る高額の退職金を清算的財産分与の対象とすることが困難な事情があることを考慮し、扶養的財産分与として、以下の内容の賃借権を設定しました。

・賃貸人 夫

・賃借人 妻

・期間

判決確定時から平成27年3月まで(※長女が高校を卒業する月まで。なお、判決年月日は平成21年5月28日です。)

・賃料

月額4万6148円(※妻が主張していた賃料と同額です。)

毎月末日払

このように、裁判所は、夫婦の事情や夫婦が離婚後に置かれる状況などを考慮して、夫婦双方にとって妥当・適切な自宅不動産の分与方法を検討しています。

そのため、たとえ相手が離婚した後にあなたが自宅に住み続けることに合意しなかったとしても、諦めずに、裁判所に対して、離婚した後も自宅に住み続けることが必要だという理由を丁寧に説明し、裁判官に分かってもらうことが重要です。

 

弁護士山﨑
弁護士のホンネ

 離婚条件、特に離婚後の生活に直結する居住関係に関する離婚条件は、まさに死活問題です。

離婚を求められている側からすれば、離婚には応じるとしても、離婚した後の住む場所に関する離婚条件は大きく譲歩できるものではありません。

離婚を求められている側からすれば、離婚するまでは配偶者の立場で自宅に住み続けることができますから、納得できる離婚条件でなければ、離婚に応じないでそのままいつか離婚となる日まで延々と自宅に住み続けることができる場合も多いです。

かといって、分与する側としても、応じられる条件には限度があるでしょう。

その場合、裁判になった際に裁判官が決めるであろう分与方法は、離婚の話し合いの指針の一つになります。

あなたが離婚した後も自宅に住み続けることを希望する場合は、本文に記載したように、裁判所は(極めて稀ではありますが)当事者の合意によらず判決で所有権の分与を認めたり、使用権の設定を認めることもあるということを念頭に、離婚の話し合いを進めることが良いでしょう。

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