一度決めた財産分与でも後から変更できる場合がある!?

 

「離婚の際に財産分与について取り決めたけど、やっぱり自分に不利な気がするからもう一度取り決め直したい!」

こんな悩みを持っている方もいらっしゃると思います。

そこで、今回は、

・財産分与の蒸し返しは可能? 

新しく財産分与の対象財産が発見されたらどうする?

・財産分与の請求が権利の濫用(請求が認められない)に当たる場合がある?

についてお話させていただきます。

1 一度決めた財産分与の蒸し返しはできない?

財産分与は、相手と協議(話し合い)の上で取り決める他、調停・審判、離婚訴訟の中で取り決められるのが一般的です。

では、一度取り決めた財産分与について、後からこれを否定して争うことはできるでしょうか。

いいえ、原則として一度取り決めた財産分与を蒸し返して争うことはできません。

裁判例でも、財産分与の判決確定後の不当利得返還請求について同一紛争の蒸し返しとして棄却した例(東京地判平4・1・23判時1439号136頁)や、財産分与について、公正証書により取り決めたが、その後、妻から離婚訴訟に附帯して財産分与を請求した事案において、公正証書における財産分与の取り決めの内容は妥当で有効なものであるとして、財産分与の申し立てを却下した例(宮崎地判昭58・11・29家月37巻5号81頁)があります。

2 財産分与対象財産が新たに発見された場合はどうなる?

財産の発見

「財産分与について取り決めたけど、相手が財産を隠していたことがわかった!」

このような場合には、具体的に財産分与の対象となる財産を特定した上で、再度財産分与の申し立てをすることができます。

もっとも、財産分与は、離婚後2年以内しか請求できない(除斥期間と言います。)ため、既に離婚から2年が経過していた場合には、財産分与を求めることはできなくなります。

この場合には、財産分与ではなく、共有物の分割や不法行為又は不当利得など他の方法で請求をする他ありません。

裁判例でも、財産分与の対象財産を故意に秘匿し、2年が経過した事案において、財産分与請求権の行使の機会を失ったことを理由に、共有持分権侵害による不法行為が成立した例(浦和地川越支判平元・9・13判時1348号124頁)があります。

3 財産分与の取り決めには必ず応じなければならない?

財産分与の際に取り決めた内容がおよそ実現困難であったり、不当な内容である場合、その内容に拘束されてしまうのでしょうか。

上でお話しさせていただいたとおり、一度取り決めた財産分与は、蒸し返すことができないのが原則です。

また、公正証書や調停・審判、離婚訴訟において財産分与を取り決めた場合、その取り決めに従わなければ、相手から強制執行をされる可能性があります。

でも、財産分与で取り決めた内容そのものが、非現実的で、不当な内容であった場合はどうでしょうか。

夫が別の女性と結婚するため、財産分与として、

・居住マンション、預貯金の全額(534万円)を妻に分与する

・定年退職するまで住宅ローン月額6万円を支払う

・毎月給与から住宅ローンを控除した残額の半分を支払う

・賞与が支給された際は20万円を控除した残額を支払う

という非常に過当な内容にて公正証書を作成していた事案で、妻が不履行に陥った夫に対して未払い分と将来の費用を求めたところ、判決では、過去の分と将来のローン返済分については認めましたが、双方の収入・家族数・住居費用等を考慮して、それ以外の将来分の請求について、権利濫用(権利行使が認められない)としました(東京高判平2・6・27判時1360号118頁)。

4 まとめ

・原則として財産分与の蒸し返しはできない! 

新たに分与対象財産が発見された場合には、再度財産分与を求めることはできる。ただし、除斥期間に注意!

・取り決められた財産分与の内容が非現実的で不当な場合、権利の濫用にあたる場合がある!

 

弁護士のホンネ

弁護士を入れずに本人同士で財産分与を取り決めた場合、結果として自分にかなり不利な内容での取り決めとなってしまう可能性があります。

本文でもお話しましたが、財産分与で取り決めた内容を蒸し返すことは原則としてできません。

また、財産分与は離婚後2年以内に求めなければ権利を失うため、迅速な対応も必要になってきます。

財産分与を行うタイミングでお困りの際には、お一人で悩まず、一度弁護士に相談することをお勧めいたします。

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