住宅ローンや車のローン、クレジットカードの返済に、銀行のカードローンなど、夫婦で様々なローンや借金を抱えている方も多いと思います。
その場合、借金の名義としては、夫名義であったり、妻名義であったり、なかには共同で名義になっているケースも見受けられます。
それでは、これらのローンや借金については、離婚するとき、どうすればいいのでしょうか?
トラブルを避ける良い方法はないのでしょうか?
財産分与では、プラスの財産から借金の金額を差し引くことに!
離婚をするとき、夫婦で結婚の期間中に築き上げた財産は、それぞれ2分の1ずつ分けるという財産分与をすることになります。
財産分与の計算では、結婚の期間中に購入した、
- 不動産(戸建、マンションなど)
- 有価証券(株式、債券、投資信託など)
- 自動車・バイク
- 積み立て式の生命保険(解約返戻金)
などの財産の時価評価額(別居時点)をすべて足して、総資産額を計算します。
そして、プラスの財産と同様に、結婚の期間中に負った借金やローンは、マイナスの財産として、総資産額から借金の総額を差し引くことになります!
たとえば、下記のような夫婦の場合、
資産
夫名義・マンション(2000万円)
夫名義・株式(300万円)
妻名義・生命保険の返戻金(100万円)
負債
夫名義・住宅ローン(1800万円)
夫名義・銀行のカードローン(50万円)
妻名義・クレジットカードのリボ払い残高(50万円)
マンション2000万円+株式300万円+生命保険100万円−住宅ローン1800万円—銀行のカードローン50万円—クレジットカードリボ払い残高50万円=500万円
となり、夫婦の共有財産の金額は500万円になります。
そうですので、上記の例の場合、財産分与での一人分の取り分は、500万円/2=250万円となります。
そして、各々の財産が250万円程度になるよう調整します。
つまり、
夫名義の財産 450万円
(=マンション2000万円+株式300万円−住宅ローン1800万円)
妻名義の財産 50万円
(=生命保険100万円−クレジットカードリボ払い残高50万円)
なので、お互い250万円ずつにするためには、夫は、妻に対して、200万円分の財産分与を支払うことになります。
ただし、結婚前の借金や、個人的な借り入れは考慮されないことも
もっとも、財産分与で差し引くことが可能なのは、結婚期間中に負った借金に限られます。
そのため、結婚前の借金については、財産分与では考慮されません。
また、結婚期間中に負った借金であっても、夫婦の共同生活を営むために明らかに不必要なものについては、例外的に除外されることもあります。
たとえば、夫婦の片方が一方的にギャンブルで借金を負ったケースなどでは、その半分を相手に負担させるのはあまりにかわいそうですよね。
同様に、別居後の借り入れに関しても、基本的に差し引くことはできません。
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資産より借金の方が多い場合でも、借金を支払えという請求は×
それでは、資産よりも借金の金額の方が大きい場合、借金を一部でも支払えと請求することはできるのでしょうか?
しかし、現在の家庭裁判所実務では、借金を支払えというマイナスの財産分与は認められないこととなっています。
たとえば、
夫名義・自宅マンション(2000万円)のみ
借金
夫名義・住宅ローン(3000万円)
夫名義・カードローン(100万円)
の場合、
自宅マンション2000万円−住宅ローン3000万円−カードローン100万円=−1100万円
と総資産額は−1100万円でマイナスになってしまいます。
しかし、マイナスの財産分与は認められていませんから、上記のケースでは、夫から妻に対して−1100万円の半分−550万円を支払えと請求することはできないのです。
離婚後もあくまで、借金の名義人の夫が支払いを継続していくことになります。
どうしても支払いができない場合は、債務整理も視野に
もっとも、離婚すると、ローンや借金の支払いが不安・・・という方も多数いらっしゃると思います。
もし、離婚後にこれまで通りの返済を継続することが難しいのであれば、弁護士に相談して、債務整理を検討されても良いかもしれません。
いろいろとデメリットはありますが、自己破産をすれば借金はチャラになります。
また、個人再生のように、自宅は手元に残しつつ、他の債務を圧縮できる方法もあります。
詳しくは、弁護士にご相談ください。