離婚裁判はなぜ長引く?早期解決のための対処法を解説!

弁護士

プロキオン法律事務所(https://rikon-procyon.com/)(横浜で離婚に特化した法律事務所として東京と横浜に事務所を構えています。)の代表弁護士の青木です。離婚や男女問題に特化した弁護士として、年間200回以上の離婚調停や裁判に出席しています。
夫側、妻側、それぞれに立場に応じて弁護活動を行っています。
(弁護士 青木亮祐 /プロキオン法律事務所 代表弁護士)

さて、今回は、離婚裁判が長引く理由と、その対処法について解説します。
現在離婚裁判中の方や、これから離婚裁判を控えている方は、どうぞお読みください。

1 なぜ離婚裁判は長引くの?

『令和4年司法統計年報家事編』によれば、離婚裁判の平均的な審理期間は1年2ヶ月です。ただ、これは和解による解決も含まれていますので(判決にまで至るのは全体の半分以下)、判決にまで進む場合の裁判の平均審理期間は、1年6ヶ月程度と考えられます。

離婚裁判の期間については、以下の記事でも解説していますので、ご参照ください。

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上に挙げたのは、あくまでも平均的な審理期間です。
しかし、離婚裁判では、審理が数年に及ぶ場合も少なくありません。
家庭裁判所の第一審だけで、3年から4年近く続く事件も、決して稀ではないのです。

なぜこれほどの長い期間がかかってしまうのでしょうか。それにはいくつか理由があります。

・複数人の日程調整

裁判は、1ヶ月に1回程度期日が開かれ、そこでは、それまでに提出された書類のチェックや、次回の期日までに提出すべき書類の確認を行います。

そして、いつも裁判所の頭を悩ませるのが、その期日の日程の調整です。
裁判官は常勤ですが、期日を開ける日というのは曜日で限られています。また、裁判官もさまざまな事件の担当をしています。長い時間を使う尋問手続が予定に入っていたり、他の裁判所の支部に出向する日が入っていたりしますので、適当には日時を設定できません。

また、弁護士も、訴訟での対応以外に多くの業務を行っていますので、自ずと裁判所へ出廷できる日や、オンラインであっても対応ができる日は限られてきます。そして、弁護士は、原告側として複数人で参加していたり、被告側として複数人で参加しているケースもあります。

そうすると、そうした大勢の予定が合う日を決めなければならないのですが、理想とされている月に1回のペースで日時を合わせるのは困難になるわけです。そのため、結果として、2ヶ月に一回の頻度になったり、夏季休暇を挟んで3ヶ月後に日程が組まれる、といった事態になることも多いです。

・財産調査をしようとすると時間が伸びる傾向

離婚裁判では、財産分与が主要な争点になるケースが多いです。
特に、当事者の双方が、相手にはもっとこういった財産があるはずだ!として、財産調査合戦を行うケースがよく見られます。こういったケースでは、審理が長期化することは避けられません。

具体的には、当事者は「調査嘱託の申立」という手段をとります。調査嘱託は、裁判所から第三者の機関(金融機関など)に、当事者の名義の財産記録があればそれを送付してほしいという依頼を行う制度です。通常の企業や法人であれば、これに応じるのが普通です。

調査嘱託の申立は、次から次へと行われるケースがあります。
例えば、調査嘱託の申立てにより資産が発覚したところ、その資産の状況をより詳しく解析するために、別の角度から新たな調査嘱託の申立てがなされるなどです。

やっぱりあれもあるはず、これもあるはず、という申立てを続けて行うことは、通常認められません。しかし、新たに発覚した事実を元に、別の申立てを行う、ということは認められやすいです。

そのため、調査嘱託の申立てが行われると、裁判が長期化する可能性が高くなります。

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2 一般的な裁判日程

さて、以上述べたような理由で離婚裁判は長期化するケースがあるわけですが、おおよその日程のイメージが掴めるよう、一般的な流れを時系列で紹介しておきます。1月に訴訟提起をしたとして、その後の手続きがどう進むか、おおよその流れをイメージできると思います。

<長期化する典型的な離婚裁判の流れ>

1年目
1月
夫側 調停不成立に伴い、離婚訴訟を家庭裁判所に提起
2月妻側に訴訟記録が送付される
3月第1回口頭弁論期日(夫側の弁護士のみ出席。妻側は欠席)
※第一回目の期日は相手当事者は欠席できます。
5月第2回口頭弁論期日(夫側弁護士と妻側の弁護士が参加)
妻側が反論書面を提出
7月弁論準備手続に移行。双方の弁護士とも、電話またはWebシステムで参加。
夫側が再反論の書面を提出
8月裁判所の夏季休廷(裁判官の夏休みにより期日が入らない。)
10月弁論準備期日
妻側が再々反論の書面と反訴状を提出。慰謝料と財産分与を求める。
12月弁論準備期日
夫側、反訴状に対する反論書面提出
2年目
2月
弁論準備期日
妻側、反論書面に対する再反論書面提出
4月弁論準備期日
夫側、再々反論書面を提出
妻側、夫の財産に関する調査嘱託の申立書提出
6月弁論準備期日
夫側、妻の財産に関する調査嘱託の申立書提出
7月〜8月裁判所、調査嘱託を実施。各金融機関等に当事者名義の財産があるかどうか、ある場合の金額の報告を要請
9月弁論準備期日
裁判所、夫側、妻側に、調査嘱託の進捗状況を報告
10月弁論準備期日
妻側、財産一覧表提出
再度調査嘱託の申立て
11月〜12月裁判所、調査嘱託を実施
3年目
1月
弁論準備期日
裁判所、調査嘱託の結果を報告
2月弁論準備期日
妻側、訂正した財産一覧表を提出
4月弁論準備期日
夫側、財産一覧表を提出
6月弁論準備期日
夫側、妻側、それぞれ訂正した財産一覧表を提出
7月弁論準備期日
今後の方針について意向すり合わせ
8月裁判所の夏季休廷
9月弁論準備期日
夫側、妻側、当事者の陳述書を提出
11月本人尋問を実施
12月和解期日
和解の話し合い
4年目
2月
和解期日
再度の和解の話し合い
3月和解期日
和解の話し合い決裂
5月判決

以上、約3年半で家庭裁判所の第一審が決着した一例です。一般的によく見られる流れです。
なお、判決に対して、夫側と妻側、どちらかに異議があれば、控訴することになります。高等裁判所で行われる控訴審は、その後さらに3ヶ月から6ヶ月程度で決着がつくのが通常です。

3 早期に離婚を達成する方法

このように長期化しがちな裁判ですが、早期解決のために対処する方法もあります。以下、対処法をお伝えします。

・論点を少なくする

例えば、こちらが財産分与や慰謝料を請求する側であれば、それらは一旦後回しにして、とりあえず離婚だけ先行するという方法も可能です。

財産分与については、離婚してから2年以内であれば、調停または審判を申し立てることによって対処可能です。慰謝料は、3年以内に請求をすれば良いです。

このように、離婚裁判で、離婚のみをひとまず求めるという方法をとる場合は、財産分与を論点としない分、大幅な期間短縮ができると思います。

もちろん、離婚後に改めて財産分与の手続きを行う場合は、後から手続きの負担があるわけですが、まずは離婚を先行させたいという方にとっては、有力な選択肢になるのではないでしょうか。

・和解での解決を検討する

離婚裁判の平均審理期間は1年2ヶ月ですが、判決まで進む場合は1年半程度と予想されます。
逆に、和解で解決するケースでは、1年以内に解決できることも多いです。
そのため、激しい主張合戦はそこそこにして、和解での解決を積極的に検討するのも良い方法と言えます。

・財産は隠さずに開示する

基本的に、財産を隠そうとすれば相手方が疑い、調査嘱託の申立ての隙を与えることになります。そうなると、やはり時間がかかる原因になります。
財産は隠しきれないものと考え、基本的なものは開示するようにした方が良いでしょう。
調査嘱託の申立てがなされなければ、通常は1年程度で裁判を終えられるはずです。

弁護士のホンネ

弁護士 青木
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今回は、どうして裁判というのは長引きがちなのかという説明と、早期解決のための対処法をご紹介しました。裁判がどのくらいかかりそうかという見通しは、なかなか難しいのが実情です。相手が調査嘱託を申し立てるなどして、財産調査にトータルで半年以上時間を取られるケースもあるからです。
今回の記事が、現在離婚裁判中である方や、これから離婚裁判を控えている方にとって、役に立てる部分がありましたら幸いです。

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