
プロキオン法律事務所(https://rikon-procyon.com/)(離婚に特化した法律事務所として東京と横浜に事務所を構えています。)の代表弁護士の青木です。離婚や男女問題に特化した弁護士として、年間200回以上の離婚調停や裁判に出席しています。
夫側、妻側、それぞれに立場に応じて弁護活動を行っています。
(弁護士 青木亮祐 /プロキオン法律事務所 代表弁護士)
今回は、弁護士に離婚問題を依頼しているが、提出する書類のどこをチェックすれば良いのか分からない方のために、チェックポイントをお伝えします。
弁護士に依頼すれば、あとは弁護士が1人で全て離婚問題を解決に導いてくれる、というわけではありません。
あくまでも、弁護士は、あなたと一緒に、あなたの離婚問題を解決していくパートナーです。そのため、弁護士に一任させすぎず、弁護士が裁判所に提出する書面を、あなた自身もチェックをすることをお勧めします。
とはいっても、法律の専門家でない限り、どこをチェックすべきなのか分からないかもしれないですね。そこで、弁護士に依頼をしたあなた自身に期待されているチェックポイントをお伝えします。
1 事実関係の正確さをチェックしましょう!
まず、弁護士がどのような考えのもとで書面を作成しているかということをお伝えします。
弁護士は、法律の専門家ですので、法律や、裁判所が実際の事件を通じて作り上げた判例に通じています。それらは、裁判所で通用するルールですね。ルールというのは、「Aがある場合はBという結論になる」というものです。
そのため、「Aがある場合はBになる」(たとえば、「不貞行為がある場合は、離婚が認められる」など。)というルールの適用を裁判所に求めたい場合は、Aが存在すること(例えば、不貞行為が存在すること)、を裁判所に説得する必要があります。
弁護士は、依頼者であるあなたに色々な事実関係を聴取しようとしますが、それは、まさにこうしたルールのうち、「A」に当たるものを聞こうとしているわけです。そして、雑多な事実関係の中から、Aの存在を導く事実関係を抽出して、書面に記載しているのです。
Aにあたる事実関係は、こちらの主張の中心と言えますね。そのため、あなたが把握している事実と一致している必要があります。
そこで、弁護士の作成した書面をあなたがチェックする場合、弁護士が記載した事実関係が正確かどうかを必ず確認しておきましょう。
2 証明できそうな資料は他にないかも確認しておきましょう
ところで、「Aがある場合はBになる」(たとえば、「婚姻関係が破綻していれば、離婚が認められる」など。)というルールの適用を求めたくても、「Aが存在すること」を証明できなければいけません。
単に「A」が存在すると裁判所に対して述べても、それを裏付ける資料がなければ、裁判所は「Aがある場合はBになる」というルールを適用してくれないわけですね。
そこで、事実関係が正確かどうかに加えて、そうした事実関係を証明できそうな資料は他にないかどうか、という点も確認しておきましょう。
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3 記載してもらいたいことがあれば、弁護士に相談してみましょう!
弁護士に色々書いてもらったけど、他にもこうしたことを裁判所に伝えてほしい、などという希望が出てくるケースもあるでしょう。
その場合は、「こうした事実もあるはずなんだけど、書面に書いてもらうことは可能か」を弁護士に相談してください。
先ほど述べた通り、弁護士は、一定のルールに当てはまる事実関係を拾い出して、それを裁判所に主張します。そのため、ある事実を弁護士が取り上げていない場合、その弁護士が、今回問題となるルールとは関係が薄いと判断し、あえて記載をしていないのかもしれません。
とはいえ、どうしても裁判所に伝えたいものがあれば、弁護士も、不利にならない限りは反対しないと思いますので、ぜひ担当の弁護士に相談しましょう。
4 財産分与などの数字の部分は本人もチェックしておきましょう!
財産分与など、数字が絡む場合は、ぜひご本人でも計算が正しいかチェックをしてみることをお勧めします。
離婚問題では、例えば弁護士は、夫婦の財産一覧表を、エクセルを使って作成します。ところが、シグマ関数の範囲設定にミスがあるなどして、合計値が合っていない場合なども生じ得ます(もちろん、普通の弁護士であれば、そうした初歩的ミスがないよう最善の注意を払っていると思います。)。
初歩的なミスでも、結果として、もらえる金額や支払うべき金額が大きく変わってしまうリスクがあります。弁護士といえども、ミスが絶対にないとは言い切れませんので、数字については注意深く確認するようにしましょう。
5 提出期限はあまり重要ではないですが、時効や控訴期間は注意しましょう!
最後に、これは書面そのものではないですが、書面の提出の期限についてです。
一般的に、裁判所がいついつまでに書面を提出してくださいというレベルの期限は、こう言ってはアレですが、あまり重要ではありません。基本的には、裁判所からのお願いベースのものだからです。
一方、法律で定められている、時効や控訴期限、抗告期限については注意が必要です。こうした期限内にしっかりと書類の提出ができているかは、ご本人の方でもチェックすることをお勧めします。控訴期限や抗告期限は通常2週間ですが、時効については、事案ごとに異なります。あらかじめ弁護士に確認しておきましょう。
もちろん、時効や控訴期限の管理は、専門家である弁護士が責任を持って対処することであって、絶対にミスがあってはならないことです。しかし、仮にミスがあった場合に、大きな損失を被るのはご本人になってしまいます。ぜひ、こちらも念頭においてください。
以上のチェックポイントを念頭に、弁護士から書面の確認を求められた際にチェックしてみましょう。
今回の弁護士からのアドバイス
弁護士から裁判所などへ提出する書面の確認を求められたら・・・
☑️記載されている事実関係に誤りがないかどうかチェックしましょう!
☑️事実関係を補強できる証拠資料がさらにないかチェックしましょう!
☑️財産分与などの数字がからむ場合は、その計算もチェックしましょう!
☑️書面の提出期限はあまり重要とはいえませんが、時効や控訴・抗告期限は重要です。あらかじめ弁護士に確認をとっておき、チェックするようにしましょう!
弁護士のホンネ

弁護士はご本人からいろいろな事情を聞きますが、それは、事件の解決のために必要な事実探しといえます。色々お聞きした事情の中で、使える事実を抽出して、それを裁判所に提出する書面に記載することになります。そのため、たとえ弁護士の書面内容がシンプルなものであっても、それは厳選された事実とも言えるわけです。逆にいうと、その厳選された事実に誤りがあってはなりませんから、記載された事実が本当に正しいものか、ぜひご本人にも再度チェックしてみていただければと思います。
そのほか、本文でまとめた内容は、離婚問題などを良い内容で解決するために非常に役立つものです。ぜひ、参考にしてみてください。
なお、当事務所は離婚と男女問題に特化した法律事務所です。離婚や男女問題について無料相談を実施していますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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