裁判で離婚する場合のデメリット。再婚への障壁は?

弁護士

プロキオン法律事務所(https://rikon-procyon.com/)(横浜で離婚に特化した法律事務所として東京と横浜に事務所を構えています。)の代表弁護士の青木です。離婚や男女問題に特化した弁護士として、年間200回以上の離婚調停や裁判に出席しています。
夫側、妻側、それぞれに立場に応じて弁護活動を行っています。
(弁護士 青木亮祐 /プロキオン法律事務所 代表弁護士)

はじめに—離婚を考えるあなたへ

夫婦関係が破綻し、「もうこの結婚生活を続けられない……」と思うまでには、多くの葛藤があったことでしょう。離婚は人生における大きな決断であり、その方法によって今後の生活や再婚への影響が変わってきます。

離婚にはいくつかの方法がありますが、話し合い(協議)での解決が難しい場合、家庭裁判所を介した調停や裁判という選択肢が必要になることもあります。
ただし、裁判での離婚には次のようなデメリットがあります。

<裁判離婚のデメリット>

✅ 裁判が長引くと精神的・経済的負担が大きくなる

✅ 戸籍に「裁判離婚」と記載され、再婚時に影響を及ぼす可能性がある

✅ 裁判離婚は時間がかかりすぎる!

✅ 離婚慰謝料の金額が期待よりも低くなるケースが多い

✅ 特有財産であることを認められない場合も多い

✅ 養育費や生活費の取り決めが柔軟に行えないことがある

特に、裁判離婚は、将来の再婚に影響を及ぼす可能性があるため、慎重に検討することが重要です。本記事では、裁判離婚のデメリットを具体的に解説し、離婚後の人生を見据えた最適な判断をするためのヒントをお伝えしたいと思います。

1.裁判離婚と戸籍への記載—再婚への影響は?

離婚が成立すると、戸籍には「どのような手続きで離婚したのか」が記載されます。

<離婚の種類ごとの戸籍の記載方法>

・協議離婚:「【離婚日】令和○年○月○日」

・調停離婚:「【離婚の調停成立日】令和○年○月○日」

・裁判離婚:「【離婚の裁判確定日】令和○年○月○日」

・和解離婚:「【離婚の和解成立日】令和○年○月○日」

裁判離婚の場合、「離婚の裁判確定日」と記載され、離婚が裁判で争われたことが明確にわかります。

この記載があることで、将来的に、再婚を考える際に影響を及ぼす可能性があります。例えば、再婚相手やその家族が戸籍を確認した際に、「なぜ裁判まで行ったのか?」と疑問を持たれることがあるからです。

通常、戸籍謄本を目にする機会は限られています。しかし、再婚を考える世代では、相手やその家族が戸籍を確認したがるケースもあり、裁判離婚の記載があることで「円満に離婚できなかったのでは?」と不安を持たれる可能性があります。

➡ 対策:
もし再婚を考える場合は、裁判離婚に至った経緯を相手にわかりやすく説明できるよう、あらかじめ整理しておくことが大切になるでしょう。

2.和解離婚と裁判離婚—記載の違いと影響

裁判離婚と和解離婚の大きな違いは、「最終的な決定を誰がしたか」という点です。

・裁判離婚 → 最終的な判決は裁判官が下す

・和解離婚 → 当事者同士が話し合い、裁判所の仲介のもと合意する

和解離婚の場合、戸籍には「【離婚の和解成立日】令和○年○月○日」と記載されるため、「裁判で争い抜いた結果、判決で離婚が決まった」という印象を与えにくいと言えるでしょう。

また、和解離婚は比較的柔軟な条件で離婚できるのも特徴です。

<和解離婚のメリット>

✅ 裁判離婚よりも柔軟な条件で合意しやすい

✅ 離婚に至る経緯を比較的穏便なものにできる

✅ 戸籍の記載が裁判離婚よりも再婚時に影響を及ぼしにくい

判決ではなく、和解で解決できる状況であれば、和解での解決も積極的に検討しましょう。

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3.裁判離婚は時間がかかりすぎる!

裁判での離婚は、判決が確定するまでに相当な時間がかかることが大きなデメリットの一つです。

一般的に、裁判離婚の判決が出るまでの期間は1年~2年程度とされています。しかし、双方の主張が対立し、証拠の提出や証人尋問が必要になると、3年以上に及ぶケースもあります。

さらに、判決後に控訴や上告が行われた場合、最終的な離婚の確定まで5年以上かかることも珍しくありません。

なぜ裁判離婚は時間がかかるのでしょうか?いくつか理由を挙げます。

① 証拠の準備と提出に時間がかかる

裁判では、離婚の理由や財産分与・慰謝料請求の正当性を示すために、証拠を提出する必要があります。

・浮気・不倫の場合 → LINEのやり取り、写真、探偵の調査報告書など

・DVやモラハラの場合 → 診断書、警察への相談記録、録音データなど

・財産調査が必要な場合 →相手が財産を隠している可能性がある場合は、調査嘱託などの制度を利用して時間をかけて調査を続けることも。

② 期日の間隔が長い

裁判では、通常1~2か月に1回程度のペースで審理が行われます。その上、期日と期日の間の期間は、どちらか一方が書面を提出する宿題になっていることが通常ですので、もう片方はいわば休憩の期間になります。このように、書面の提出を順番に行う形になるため(お互いに反論を重ねていく形式のため)、時間がどうしてもかかってしまう構造なのです。

③ 控訴・上告によりさらに長期化

第一審の判決に不満がある場合、控訴(第二審)や上告(最高裁)が行われ、さらに数ヶ月から年単位の時間を要することもあります。

このような裁判の長期化により、さまざまな面で影響が生じます。
例えば、

・精神的な負担が増える

・弁護士費用がかさむ(長期化すればするほど費用が増える)

・次の人生設計が立てられない(再婚や転居の計画が進めにくい)

・相手との関係がさらに悪化する(長引くことで感情的対立が激しくなる)

などが挙げられるでしょう。

➡ 対策:

・時間を大事に考える場合は、調停や和解での解決を目指すことも考えましょう。

・裁判を避けられない場合は、証拠を事前にしっかり準備し、スムーズな審理進行を心がけましょう。

4.慰謝料の現実—裁判をしても高額は期待できない

「裁判で争えば高額な慰謝料が得られるのでは?」と思う方も多いですが、実際には慰謝料には相場があり、期待していたほどの金額が得られないことも多いです。特に、一般に出回っている情報(例えば慰謝料で300万円だとか500万円もらえるなどの内容)は、一昔前の古い情報である可能性があります。

昨今の慰謝料の相場(目安)

・浮気・不倫の慰謝料:100万円〜250万円

・DV・モラハラの慰謝料:50万円〜250万円

さらに、慰謝料を裁判で争う場合、証拠がなければ慰謝料が認められないケースもあります。 例えば、DVやモラハラを訴えても、具体的な証拠(診断書や録音データなど)がなければ、慰謝料請求が難しくなることがあります。

判決まで進む場合は、当事者尋問の際、自らの被害を詳細に裁判官に説明する必要もあります。

➡ 対策:

慰謝料を確実に受け取るためには、事前に十分な証拠を集めておくことが重要です。また、裁判に頼る前に、証拠の有無を確認し、調停などで解決を目指すのも一つの選択肢です。

5.特有財産であることを認められないことも多い

裁判離婚では、財産分与の際に「これは婚姻前からの財産(特有財産)だから、分与の対象にはならない」と主張しても、証拠が不十分だと認められないことがあります。

特有財産とは、婚姻前から所有していた財産や、婚姻中であっても相続や贈与によって得た財産のことを指します。しかし、裁判では「特有財産である」と明確に証明できなければ、夫婦の共有財産として扱われてしまう可能性が高くなります。

裁判では、特有財産であることを主張する側に証明責任があるため、特有財産であることを客観的に示す証拠が必要になります。例えば、以下のような書類が証拠として求められます。

✅ 婚姻前に所有していた不動産の登記簿や売買契約書

✅ 婚姻前の預貯金を証明するための通帳(婚姻前の履歴が明確に残っているもの)

✅ 相続財産であることを証明するための遺言書や相続登記の書類

✅ 親から贈与された資産についての贈与契約書や銀行の振込記録

しかし、これらの書類が揃っていない場合、「特有財産」として認められず、婚姻後に築いた共有財産とみなされることがあります。

例えば、婚姻前の貯金を使って婚姻後に資産運用をしていた場合、その資金の出所を明確に証明できなければ、「婚姻中に形成された財産」と判断され、分与の対象になってしまうこともあります。

また、金融機関の取引履歴は原則として10年分しか保管されていないため、古い取引履歴を取得できず、証拠を揃えることが困難になるケースもあります。

一方で、裁判ではなく交渉(協議離婚)や調停離婚であれば、証拠が乏しくても、特有財産であることを前提に話を進められるケースも多くあります。

➡ 対策:

もし、裁判で特有財産を主張する場合、確実な証拠を残しておくことが最も重要です。弁護士などと相談をし、そうした証拠資料をあらかじめ取得しておくようにしましょう。

また、裁判ではなく調停や交渉で解決を目指すことも考えましょう。

6.養育費やその他の取り決めは裁判では難しい

裁判で決まる養育費は、基本的に20歳までの範囲であり、それ以外の柔軟な取り決め(私立学校の学費負担など)は裁判では決めにくいのが現実です。

また、離婚後の住居に関する取り決め(相手名義の家に住み続ける期間など)も、裁判で柔軟に決めることが難しくなります。

例えば、以下のような柔軟な取り決めは裁判では決めにくいため、協議や調停で解決を図ることも考えると良いでしょう。

☑️私立学校の学費負担

☑️大学・大学院進学時の養育費負担

☑️離婚後の住居に関する取り決め(相手名義の家に住み続ける期間など)

➡ 対策:

養育費に関して柔軟な条件を希望する場合は、裁判よりも調停や協議での解決を目指すほうが現実的です。

まとめ

以上のように、裁判離婚には多くのデメリットがあります。そのため、協議や調停で解決することも、積極的に検討するべきと言えるでしょう。
一方で、どうしても裁判で離婚を求めざるを得ないケースも確かにあります。そうした場合は、上記の「対策」に記載したアドバイスも参考にしていただければと思います。

不安がある方は、専門家に相談し、後悔のない決断をするように心がけましょう。

弁護士のホンネ

弁護士 青木
弁護士のホンネ

離婚問題では、「絶対に裁判で勝つ!」という姿勢は、必ずしも最善の選択ではありません。
裁判は長期化し、精神的・経済的な負担も大きくなります。本文でも紹介しましたが、判決に行くまでに数年単位(ケースによっては調停と裁判期間だけを合わせても5年など)かかる場合も多いですから、その点も理解しておきたいところです。

大切なのは、「自分が本当に望んでいることは何か」を冷静に見極めることです。感情的にならず、協議や調停で解決できる可能性を探ることも大事と言えるでしょう。

一方で、裁判にならざるを得ないケースというのも確かに存在します。そういう場合は、しっかりと準備をした上で、堂々と立ち向かっていくべきでしょう。信頼できる弁護士をチームを組んで当たっていきましょう。

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