<2020/1/26更新>
離婚や男女問題でお悩みの方にとって、弁護士に相談することは、私ども弁護士が思っている以上に勇気がいることかもしれません。
しかも、通常、初回の法律相談は30分から1時間の短い時間。
でも、せっかく相談するなら、充実したものにしたいですよね!
そこで、弁護士の立場から、初めての法律相談・離婚相談を充実したものにするためのポイントをお教えします。
1 法律相談の種類、費用
まずは、弁護士の法律相談はどのような種類のものがあるのでしょうか。
大きく分けると、各法律事務所、市区町村などの自治体、弁護士会、法テラスが実施する法律相談があります。
(1) 各法律事務所の法律相談
まずは法律事務所に直接申し込んで法律相談を実施することができます。
例えば、私が代表を務める弁護士法人プロキオン法律事務所では下記の通り法律相談の申し込みページを準備しています。
相談する法律事務所や弁護士を探すツールとしては、以下のような弁護士探しのポータルサイトを利用する方が最近増えています。
一般的に、Web上で離婚などに力を入れてポータルサイトに掲載したり、ランディングページを用意している事務所は、離婚事件の取扱件数が多く、かつ初回の法律相談のハードルを下げるために相談料無料などを設定しているケースが多いです。
また、相談時間も60分程度と比較的長めの時間を設定している事務所が多いように見受けられます。
通常は、事務所に電話やWebなどで予約して、決められた時間に来所し、法律相談をします。
人数の多い事務所であれば、男性や女性など弁護士の性別希望を出せるケースも多いです。
(2) 市区町村など自治体の法律相談
市区町村などの自治体が、市役所などで法律相談を実施しているケースがあります。
自治体での法律相談は無料ですが、時間が30分程度と各法律事務所に比べて短く設定されているケースが多いです。
事前に電話で申し込むか、当日市役所等に来訪して先着で相談をしてもらうかのどちらかの対応をしている自治体が多いようです。
自治体の法律相談は、各都道府県の弁護士会(単位会と言います。)から派遣されます。
派遣の日時等はシフト制のような形で、法律相談担当の弁護士に割り振られる形になります。
派遣される弁護士を選ぶことは出来ないので、どのような弁護士に相談できるか運次第になります。
自治体で法律相談を担当してもらった弁護士に、2回目以降、その弁護士が所属する法律事務所まで直接行って改めて法律相談するということも可能です(弁護士が断らなければ。)。
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(3) 弁護士会の法律相談
弁護士は全員、日本弁護士連合会という組織と、各都道府県にある弁護士会(単位会)に所属しています。
弁護士会も、法律相談を実施しています。
例えば、私が所属している東京弁護士会では、霞ヶ関、新宿、錦糸町、池袋、北千住、蒲田、立川、八王子、町田に法律相談センターを設置しています。
相談料は相談の種別によって異なりますが、30分5000円程度の相談料をいただくケースが多いように思われます。
弁護士会の法律相談も各弁護士会から担当する弁護士が派遣されるため、相談担当の弁護士を選ぶことはできません。
(4) 法テラス(日本司法支援センター)
法テラス(正式名称は日本司法支援センター)とは、法務省所管の公益法人で、弁護士費用を国が立て替えてくれる組織です(費用は後日返済します。)。
法テラスでも法律相談を実施しています。
ただし、法テラスの場合、無料法律相談を受けるには、以下の利用条件を満たす必要があります(以下、法テラスのホームページから引用)。
ご利用の条件
無料法律相談を受けることができるのは、(1)(3)の条件を満たす方です。
弁護士・司法書士費用等の立替制度を利用することができるのは、(1)(2)(3)すべての条件を満たす方です。
いずれも我が国に住所を有しなかったり、適法な在留資格のない外国人や、法人・組合等の団体は対象者に含まれません。(1) 収入等が一定額以下であること
以下の資力基準をご覧ください。(2) 勝訴の見込みがないとは言えないこと
和解、調停、示談等により紛争解決の見込みがあるもの、自己破産の免責見込みのあるものは、(2)に含みます。(3) 民事法律扶助の趣旨に適すること
報復的感情を満たすだけや宣伝のためといった場合、または権利濫用的な訴訟の場合などは援助できません。
そのため、収入額が一定の方以上は、法テラスの利用はできないため注意が必要です。
2 法律相談のために必要な持ち物
それでは、法律相談に行く場合、必要な持ち物はあるのでしょうか。
必要なもの、あった方が良いものなどご紹介します。
(1) 必ず必要なものは身分証明書、印鑑など
一般的に法律相談のために必要なものは、
- 身分証明書・・・運転免許証、健康保険証などの公的機関が発行したもの。身分確認のために必要です。
- 印鑑・・・もしご依頼いただく場合に、契約書や委任状などを作成するために必要です。実印ではなく認印で結構です。
が求められることが多いです。
ただし、法律事務所の法律相談では各事務所によって異なるので、ご不安なのであれば、各法律事務所のホームページを確認したり、お電話などで問い合わせいただくようよろしくお願い申し上げます。
(2) 相談に関係する資料(裁判所や相手方から来た書類、契約書、通知書など)
法律相談を充実したものにするために、下記の書類などは持参していただくことをお勧めします。
例えば、
裁判所から来た書類
訴訟の場合・・・訴訟期日呼出状、訴状、証拠説明書、甲号証、判決正本、和解調書
執行、保全に関するものの場合・・・(仮)差押決定書
調停の場合・・・調停期日呼出状、調停申立書、事情説明書、調停調書、審判書
相手方から来た書類
通知書(内容証明、特定記録、普通郵便など)、請求書
関係する書類
契約書、公正証書、見積書、請求書など
などが該当します。
弁護士は、申立書や訴状の内容を確認して、法律上の見通しやどういう戦略で進めるべきかアドバイスします。
もしこれらの書類がない場合、弁護士からのアドバイスも具体的なものではなく、一般的、抽象的なものになってしまいます。
手元にある関係がありそうな書類は、できる限り法律相談に持参するようにしましょう。
そのほか、不倫の慰謝料請求など検討している場合には、不倫の証拠(探偵からの調査報告書、写真、メール・LINEの履歴など)などを持参することをおすすめします。
何が不倫の証拠になるのかはこちらの記事などもご参考にしてください。
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(3) 充実した相談のため、時系列メモ、質問票など
せっかく弁護士に相談するチャンスということで、いろんなことを質問したい方も多いと思います。
その場合には、ぜひ質問表のようなものを作って持ってきていただければ、もれなく質問にお答えできると思われます。
弁護士も30分から1時間という時間の区切りがあるので、時間を意識して相談を進めていきます。
質問表があれば、いったいどれくらいの質問に答えればいいのか、どれくらいの時間をかけてそれぞれの質問に答えればいいのか、弁護士も把握できます。
結果として、あなたの質問に十分答えることができるのです。
また、弁護士の方に事案の内容を正確に把握してもらいたい場合には、時系列に出来事を書き記したメモなども持参するとより良いと思います。
弁護士は、事案の概要を把握するときに、いつ、誰か、どこで、何をしたのかという事実(エピソード)に着目してお話を伺いますので、時系列のメモがあれば事案の概要がスムーズに弁護士の頭に入ってきます。
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