
プロキオン法律事務所(https://rikon-procyon.com/)(横浜で離婚に特化した法律事務所として東京と横浜に事務所を構えています。)の代表弁護士の青木です。離婚や男女問題に特化した弁護士として、年間200回以上の離婚調停や裁判に出席しています。
夫側、妻側、それぞれに立場に応じて弁護活動を行っています。
(弁護士 青木亮祐 /プロキオン法律事務所 代表弁護士)
離婚を進める際、夫婦間の話し合いが難しい場合には、家庭裁判所で行われる「離婚調停」を利用することになります。しかし、突然裁判所から調停の通知が届くと、多くの人が「どう対応すればいいのか?」「初回の調停に行けない場合はどうなるのか?」と不安を抱えます。
結論から言えば、初回期日は事前に連絡をすれば欠席可能です。ただし、何の連絡もせずに欠席すると、裁判所側が「調停に非協力的」「調停で話し合いをする意思がない」と判断する可能性があり、相手の意向次第では、こちらが欠席をした1回目で調停が不成立になることもありえます。また、欠席する場合でも答弁書を提出することで自分の意見を伝え、調停でのこちらの対応方針を伝えることが可能です。
さらに、調停を有利に進めるためには、適切なタイミングで弁護士に相談することが重要です。特に、申立書が届いた時点で弁護士に相談することで、適切な対策を立てやすいです。
本記事では、離婚調停の初回期日の決定方法、欠席の可否、答弁書の重要性、そして弁護士に相談する適切なタイミングについて詳しく解説します。
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1. 離婚調停の初回期日とは
離婚調停の概要
離婚調停とは、家庭裁判所の調停委員が仲介し、夫婦双方の意見を調整する手続きです。調停は、裁判のような対決型ではなく、冷静な話し合いの場として進められるのが特徴です。
調停委員(男女1名ずつ)が双方の意見を交互に聞き、合意点を見つけることを目指します。直接顔を合わせて話すことはほとんどなく、個別に調停室へ呼ばれ、調停委員と話をする形式が一般的です。相手と顔を合わせたくないという方にとっては、とても使い勝手の良い手続きと言えます。
初回期日の決定方法
離婚調停の申立が裁判所に受理されると、家庭裁判所が初回の調停期日を指定します。この期日は、基本的に申立人(調停を申し立てた側)の都合をもとに決定されるため、相手方のスケジュールは考慮されにくいのが実情です。
期日が決定すると、裁判所から相手方に対して以下の書類が送付されます。
- 調停期日通知書(調停の日時と場所が記載された書類)
- 調停申立書の写し(申立人の主張が記載されている)
この時点で、相手方は初めて調停の申し立てが行われたことを知ることになります。突然の通知に驚くこともありますが、慌てずに対応することが大切です。
2. 初回期日は欠席できるのか
事前連絡をすれば欠席可能
初回期日は、事前に家庭裁判所へ連絡をすれば欠席可能です。特に以下のような理由がある場合、欠席を申し出ることができます。
- 仕事の都合でどうしても調整できない
- 遠方に住んでおり、移動が難しい
- 体調不良や入院などの健康上の理由
- 他の重要な予定(例えば子どもの学校行事など)と重なっている
- 依頼した弁護士の予定がすでに入っている
裁判所に電話で連絡し、事情を説明すれば、調停委員や裁判所職員が判断してくれます。場合によっては期日を変更できることもあるため、早めに連絡することが重要です。弁護士に依頼する場合は、弁護士の方から裁判所に伝えてもらえば良いでしょう。
何も連絡せずに欠席するとどうなるか
事前連絡をせずに欠席した場合、以下のような不利益を被る可能性があります。
- 調停委員が申立人の主張のみを聞いて進めてしまう
- 相手方が調停に非協力的だと見なされる
- 調停不成立となり、すぐに裁判に進む可能性が高くなる
また、調停を欠席し続けると、家庭裁判所は「相手方は協議する意思がない」と判断し、調停を打ち切ることがあります。そうなると、申立人が離婚裁判を申し立てる可能性が高まり、裁判で争うことになるため、注意が必要です。
3.欠席する場合の「答弁書」の重要性
答弁書とは?
答弁書とは、調停申立書の内容に対して自分の意見や主張を記載し、裁判所に提出する文書です。
例えば、申立人が「配偶者のモラハラが原因で離婚したい」と主張している場合、相手方は「その主張には事実誤認がある」などと反論を記載できます。
答弁書を提出するメリット
① 自分の立場を明確にできる
初回期日に欠席しても、答弁書を提出することで、自分の主張を調停委員に伝えることができるため、不利な状況を回避できます。
② 一方的な主張を防ぐことができる
申立人の主張だけが伝えられると、調停委員の判断が偏る可能性があります。答弁書を提出することで、公平な話し合いができるようになります。
③ 次回以降の調停に備えられる
初回期日を欠席しても、答弁書を提出しておけば、次回の調停に向けた準備がスムーズに進みます。
4.弁護士に相談する良いタイミング
答弁書が届いたら弁護士に相談を
調停申立書と調停期日通知書が届いたら、まずは弁護士に相談するのが理想的です。離婚調停の進め方は個々の事情によって異なり、弁護士の助言を受けることで、適切な対応を取ることができます。
弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。
- 申立人の主張に法的な問題がないかを判断できる
- 反論が必要な場合にどのように答弁書を作成すべきかアドバイスを受けられる
- 調停で主張すべきポイントを整理できる
特に、申立書の内容が事実と異なる場合や、不利な条件が提示されている場合は、すぐに弁護士に相談し、適切な対策を取ることが重要です。
弁護士を入れるメリット
弁護士を入れることで、以下のようなメリットがあります。
- 法律の専門家が交渉を代行するため、精神的負担が軽減される
- 調停での主張を法的に整理し、適切な条件で話し合いを進められる
- 不利な条件を押し付けられないようにすることができる
特に、財産分与や婚姻費用額に争いがある場合は、弁護士を入れることで適切な内容での解決が期待できます。また、調停委員の方は、弁護士を入れている当事者に対して、無理に説得しようとはしません。そのため、「よくわからないまま、説得させられてしまう」という状況を避けることも可能です。緊張しやすいタイプの方や、押しに弱い方などは、特に弁護士を入れるメリットが大きいと言えます。
弁護士を入れる場合は初回期日の変更を求めることも多い
弁護士を依頼した場合、十分な準備をするために初回期日の変更を求めることが可能です。
弁護士がつくと、申立書の内容を精査し、答弁書の作成をサポートすることができます。そのため、準備不足のまま調停に臨むのではなく、時間をかけて戦略を練ることが重要です。
弁護士を入れるのであれば調停に初めて参加する期日からがベター
弁護士を依頼する場合、最初に出席する調停期日から同席してもらうことが望ましいです。
最初の方は一人で対応して、後の方から弁護士をつけるというやり方も、ダメなわけではありません。ただ、弁護士が入ると、これまでの主張を大きく変更させざるを得ない場合もあります。途中から主張を大きく変更すると、調停委員や相手方からも強い拒絶反応が出てしまいますので、弁護士を入れるのであれば、最初からがベターです。
5.まとめ
離婚調停の初回期日は、事前に連絡をすれば欠席可能です。
欠席する場合は答弁書を提出し、自分の立場を明確にすることが大切です。また、弁護士に早めに相談することで、適切な対策を取ることができます。
調停をスムーズに進めるためには、冷静な判断と適切な準備が重要です。調停に臨む際は、専門家の助言を受けながら、慎重に対応していきましょう。
弁護士のホンネ

答弁書の提出までが必要かは、実際のところ、事案の内容にもよります。例えば、申立人が自分の不貞を裁判所に告げずに、一方的に自分の話だけで進めようとしているようであれば、答弁書を提出し、今回の問題の根源は申立人の不貞にあることをあらかじめ伝えておいた方が良いでしょう。一方で、単に関係が悪化して別居に至っているケースでは、欠席することさえ伝えれば、答弁書の提出までは必ずしも必要がない場合も多いです。
いずれにしても、申立書が届いたら、弁護士に相談することを強くお勧めします。弁護士に相談をするタイミングとしては、ある意味で最も適切です。どんなことが論点になりそうか、こちらの主張のポイントはどんなところになりそうか、こちらの主張が認められる可能性は高そうか、今後はどんな道筋で手続きが進みそうか、などを整理しましょう。その上で、調停にはある程度戦略的な考えを持ちながら臨む必要があります。
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