離婚調停は弁護士と参加すべきか!司法統計で見る依頼のメリット

離婚であなたを守り切る。横浜プロキオン法律事務所
離婚調停の解決率と弁護士の参加率
 これまで、私たちは夫婦間での離婚の話し合いがうまくいかない時には、離婚調停手続きを利用することを薦めさせていただきました。調停もまた話し合いの場所ではありますが、私たち弁護士や裁判所の調停委員も一緒になって対応することで、無事に解決に至ることが多くあるためです。

 今回は、司法統計データから、近年、ますます離婚調停の重要性が高まっていることをお話したいと思います。そして、分析してみると、その背景としては、弁護士が当事者の代理人として調停に参加する率が年々高まっている点が挙げられることに触れたいと思います。

1. 年々高まる離婚調停の解決率!

 つぎのグラフは、司法統計からとった離婚調停段階での解決率です(離婚調停の成立と審判離婚の決定を合わせたもの)。
離婚調停段階の解決率
 近年、上昇傾向にあることが分かります。

 近年の上昇に関して考えられることは何でしょうか。
 まず、家事事件手続法が成立しました(平成23年成立、平成25年1月1日から施行)。国民に使われやすい、分かりやすい司法を目指して、運用が始まっています。ただ、システム自体に大きな変更があったわけではありません。
 また、調停に代わる審判手続という、後ほど説明する手続の利用が増えたことは注目されます。しかし、家事事件手続法の施行や、調停に代わる審判手続の増加は平成25年以降のことでありますから、それ以前からの上昇傾向は説明できません。

 ここで登場するのが、弁護士の調停参加率の大幅な上昇です。

2. 理由として考えられる弁護士の関与率の上昇

 弁護士が以前よりも増えたおかげで、料金の低廉化、相談料無料化が進み、調停に弁護士が付き添う割合が飛躍的に増加しました。

 実際の弁護士関与率の上昇傾向は、下のグラフの通りです。
弁護士の調停参加率

 弁護士の調停参加率については、弁護士白書で確認できます。調停成立率の上昇傾向と概ね一致していることが分かります。

 調停成立率上昇の理由をもっと本格的に分析するには、さらなる調査が必要かもしれません。もっとも、弁護士の参加率が上がっていることが寄与していることは言えるでしょう。

 弁護士が参加することで一番のメリットとなる点が、裁判になった場合にどのような結果になるのかという予想の的確さです。
 裁判になった場合に離婚が認められるのか、認められる場合、財産分与の金額はいかほどになるのか。養育費はいくら程度になるのか。その間どの程度婚姻費用を支払続け、どの程度の経済的な負担があるのか。そうした負担は裁判の結果に見合うものなのか。こうした予想は、経験を積んだ弁護士であるほど、その的確さが増します。
 そうした弁護士の参加と助言によって、どの程度まで強気で調停に望むべきか、あるいはどの程度まで譲歩すべきなのかといった決断が容易になってきます。

実際、私たちについて言えば、調停に参加した案件の7割から8割程度は無事成立に至っています。

 ところで、調停に代わる審判の利用が増えている点も、少なくとも平成25年以降の調停の解決率の上昇の原因として挙げられると思います。さらに言えば、今後のさらなる解決率上昇の期待要因として挙げられます。
 どういうことか、以下でご説明します。

3. 調停に代わる審判の利用

 調停に代わる審判とは、調停が成立しない場合に、家庭裁判所が当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判を行う手続です(家事事件手続法284条1項)。
 いわば、調停で当事者が合意して決めるべきはずの離婚条件を、裁判所が職権で決めて離婚させようとするものです。
 この審判は、例えば、調停で、離婚自体についてはほぼ合意ができているのに、面会交流の頻度のわずかな差や、養育費の金額の僅かな差、財産分与額の僅かな差が埋まらないような場合に利用されます。
 こうした場合、せっかく決めるべき内容の9割9分が決まったのに、わずか0割1分のために離婚ができないとするのはあまりにも勿体無いですし、なにより裁判になれば費用も労力もかかることになります。そこで、裁判所が職権で判断をして、2週間以内に異議のない限り終局的な解決とさせるのです。

 その他、例えば、どうしても調停の期日に本人が来れない場合、代理人のみの参加では、裁判所の運用上調停を成立させられませんので、調停に代わる審判をしてもらうということもあります。

 こうした「調停に代わる審判」が、調停段階での離婚問題の解決率の上昇に寄与していると言うことはできるでしょう。司法統計によれば、平成24年では審判離婚は88件であったのに、家事事件手続法の施行された平成25年になって、182件と激増しています。その後も、平成26年は300件、平成27年は386件と大激増を続けています。

 私達も、裁判所にお願いして、調停に代わる審判を利用して、審判離婚を行うことが増えました。せっかくほとんどの争点について合意ができたのに、わずかな点で合意に至らないというのはあまりにも勿体無いからです。何より、当事者の方々のためになりません。

 皆様が、もし離婚問題に悩んでおられ、調停手続に関わっておられるのであれば、弁護士の利用についてはぜひとも検討していただきたいと思います。

《弁護士のホンネ》

 この「調停に代わる審判」ですが、裁判官を見ていると、例としての絶対数が多くないためか、積極的にこの制度を利用することに及び腰であるという点は否めないと感じます。しかし、記事に記載したように、この制度の利用は昨今激増しており、家事裁判官の中でも経験者は増えていると思われますので、伸びしろは十分にあります。今後も当面の間、調停段階での離婚問題の解決率は上昇を続けるものと期待しています。

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弁護士 青木 亮祐(あおき りょうすけ)

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