不倫や暴力。離婚後に元夫に対して慰謝料請求をし200万円が認められた事例!(平成27年6月19日東京地方裁判所判決)

この判決(平成27年6月19日東京地方裁判所判決)は、元妻が、元夫に対し、同人との婚姻期間中の同人による暴力、女性関係及び勤労懈怠等により婚姻関係が破綻し、精神的苦痛を被るとともに、帰省や外泊を余儀なくされたとして、不法行為を理由とする損害賠償請求権に基づき慰謝料等の支払を求めた事案です。

裁判所は、以下のような事実関係のもと、元夫(被告)の行為について、民事上の不法行為が成立する旨述べました。

たしかに,原告は,被告と喧嘩となった際,被告と取っ組みあったり,被告の頬を平手で叩いたりすることもあった。しかしながら,原告と被告の喧嘩は,転職を繰り返したり,「出会い系」サイトを利用したりするなどの被告の生活態度が原因となっていること,被告の原告に対する暴力行為は,その程度や傷害結果も含め,単なる喧嘩の範疇を超えて一方的なものとなっていること,そして,平成22年7月11日の被告による暴力行為がきっかけとなり,原告と被告は別居し,離婚するに至っていること,その他本件の経緯に照らすと,被告の生活態度や原告に対する暴力行為が原告と被告の婚姻関係破綻の主たる原因というべきであり,被告の上記行為については,不法行為が成立する。

また、元夫の病状(発達障害、アスペルガー症候群)について言及したものの、それでもなお、不法行為責任は免れない旨述べている点は、注目に値します。

なお,被告の原告に対する暴力行為等は,被告の発達障害やアスペルガー症候群が少なからず影響していることは否めないものの,適切な治療によって同疾病の症状を軽減することは可能なのであるから,被告の発達障害等を理由に,直ちに被告の上記不法行為の違法性ないし故意過失を否定することはできないというべきである。

以下のとおり、最終的に、裁判所は200万円の慰謝料を認めました。

原告も,被告との喧嘩の際には被告の頬を叩くなどしていること,婚姻期間は約4年間であり,比較的短いこと,原告被告間に未成熟の子はいないこと,その他本件の経緯等に照らすと,離婚に伴い被った原告の精神的肉体的苦痛に対する慰謝料は,200万円とするのが相当である。

この判決は、離婚後の元妻から元夫に対する請求である点、そして元夫の精神的病状が不法行為責任を左右しないという点で特徴的であり、一つの先例として理解する価値があるものといえるでしょう。

 

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