未婚女性が独身と偽られて交際した既婚者男性を訴えて慰謝料をもらった事例!(平成27年1月7日東京地方裁判所判決)

本判決(平成27年1月7日東京地方裁判所判決)は、独身を装った既婚者男性が、未婚女性に交際を申し込み性的な関係を持ったことなどが、その女性に対する人格権の侵害であるとして、慰謝料請求を認めたというものです。

裁判所は以下のような事情の元で、男性は不法行為の責任を負うと述べました。

平成22年末から平成23年1月にかけて,被告(男性)が原告(未婚女性)に交際を申し込んだ当時,被告は1年以上も妻と別居し,互いに連絡もなく,調停も不調になっていたのであるから,被告において,当時,原告と真剣な交際をする意思がなかったとまでは認めることはできない。しかしながら,被告とB(妻)との関係は,平成23年3月11日の東日本大震災を経て,好転の兆しがあり,平成24年5月には性交渉もあったことが認められる。原告が被告を結婚の対象として考えていたことは,交際期間中の原告と被告との間のメールのやり取りから明らかであり,被告においても,そのことは容易に認識することができたはずである。それにもかかわらず,被告は,平成23年春以降,妻との関係を修復する一方,その間,原告から別れ話を持ち出されても,「大切な●●ちゃん」「愛しているよ」などとメールを送り,原告との性的関係を維持することを望み,被告が結婚を念頭において原告と交際していることを知りながら,既婚者であることを隠し,虚偽の事実を述べ,結婚を望む原告に対しても曖昧な態度をとり続け,原告との性的関係を続けたものである。このような,被告の一連の言動は,遅くとも,被告が平成23年3月の東日本大震災を契機に配偶者との関係を修復し,妻との性交渉を持った平成24年5月以降は,原告に対する関係で,その人格権を侵害する不法行為を構成するというべきである。したがって,被告は,不法行為により原告が受けた損害を賠償する責任を免れない。

本来、自由恋愛が大原則でありますが、交際相手を、自分の欲望を満たすために、道具のように利用することは許されません。この事例では、性的関係を続けたことをあえて強調していますが、これは、自己の性欲を満たすために未婚女性を騙し、利用したという点に着目して非難しているものといえます。
裁判所は、こうした事情を踏まえ、慰謝料としては100万円が相当である旨を述べました。

本件不法行為による原告の慰謝料について検討するに,被告が原告と交際中に妻との関係を修復しながら,原告からの別れ話に対しては,あたかも原告との将来の生活を考えているかのようなメールを送って原告の心を引き止め,妻からのメールも妹からのメールであると虚偽の事実を告げるなどして,原告との関係を維持しようとするなど不誠実かつ身勝手な態度をとっていたことその他の本件に現れた一切の事情を考慮すると,本件不法行為により原告が受けた精神的損害を慰謝するための慰謝料としては,100万円が相当であり,本件不法行為と相当因果関係のある弁護士報酬相当の損害は10万円をもって相当と認める。

同種の事案の中でも、100万円の慰謝料額は比較的高額な部類に入るものであり、本裁判例は先例としての価値が高いものといえるでしょう。

 

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