子供に関する基礎知識

【保存版】これで完璧!子供と離婚に関する基礎知識

 

3.養育費について

 

⑴ 養育費の支払い義務について

 

親権を持たない親は、親権者である親に対して、離婚後から子供が成人に至るまで、毎月養育費を支払わなければなりません

これは、たとえ離婚したとしても、子供との親子関係は継続し、子供に対する扶養義務を負うからです。

 

(2019年7月8日追記)

民法の一部を改正する法律により、2022年4月から成人年齢が現行の20歳から18歳に引き下げられることになりました。

もっとも、成人年齢が法律上引き下げられるとしても、18歳を超えても大学や専門学校に進学する子が多い現在では、成人になったとしても20歳頃までは扶養を要する可能性が高いと言えます。

そのため、2022年4月以降に18歳に達するとしても、現在の家庭裁判所実務では、養育費の支払い期限は満20歳までと取り決めることが通常です。

なお、養育費の支払い終期は、具体的事情により変動し得るので、こちらの記事もご参考にしてください。

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⑵ 養育費の金額の決め方

 

養育費は、基本的に、夫婦の話し合いで決定します。

もし、話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に調停を申し立て、調停委員を通して、夫婦間での合意形成を図るのは、親権の場合と同様です。

 

もっとも、調停もあくまで夫婦の話し合いの場に過ぎないので、調停でも話し合いがまとまらない可能性はあります。

その場合には、家庭裁判所の審判という手続に移行し、裁判所が、子供の年齢・人数や、夫婦双方の収入状況などをもとに養育費の金額を決定します。

もしくは、離婚裁判に移行し、裁判手続の中で、家庭裁判所が決定します。

そして、実務的には、「養育費標準算定表」をもとに決定されることが通常です。

 

⑶ 養育費の相場は、「養育費標準算定表」をもとに算定

 

この通り、家庭裁判所は養育費の決定にあたり「養育費標準算定表」を用います。

そのため、養育費の相場は「養育費標準算定表」を用いれば、簡単にわかります。

 

養育費標準算定表は、こちらのURLからダウンロードできます。

養育費標準算定表では、子供の人数・年齢と、義務者(養育費を支払う側。親権を持たない側。)と権利者(養育費を支払ってもらう側。親権者。)の収入をもとに、適切な養育費の金額を簡単かつスピーディーに計算することができます。

養育費標準算定表を使った詳しい養育費の計算方法は、「基本の基本!算定表を使った養育費の計算を弁護士が解説!」をご覧ください。

 

⑷ もし養育費の支払いが滞ったら?

 

万一、調停や審判・裁判で養育費が決定されたにもかかわらず、親権を持たない親が養育費を支払わない場合、どうすれば良いのでしょうか?

 

その場合には、調停や審判・裁判で養育費が決まったのであれば、養育費の支払い義務のある親の財産に対して、強制執行をすることが可能です。

たとえば、養育費の支払い義務者が会社勤めのサラリーマンであれば、その給料を差し押さえて、会社の給与の一部を養育費の支払いとして会社から支払ってもらうことが可能です。

通常、給料の差し押さえなど受ければ、会社を巻き込むことになり非常にカッコ悪いので、調停や審判・裁判などの手続で養育費の支払いが決まれば、約束を守り支払うことが多いです。

 

もっとも、協議離婚の際、夫婦が口頭または書面で養育費の支払い合意をした場合(公正証書を作成していない場合)には、強制執行を行うことができません。

しかし、公正証書を作成することによって、調停や審判・裁判などの家庭裁判所の手続で養育費が決まった場合と同様に、養育費支払い義務者の財産に対して強制執行をすることが可能になります。

詳しくは、「知らなきゃ損?離婚するときって公正証書を作らなきゃいけないの?」をご覧ください。

 

⑸ 養育費と婚姻費用について

 

養育費は離婚後に子供に対して支払うものですが、離婚前は何も支払わなくていいのかというとそういう訳ではありません。

離婚前は、別居中であっても、配偶者と子供に対して、別居中の生活費として「婚姻費用」というものを支払わなければなりません。

婚姻費用とは子供の生活費(養育費相当額)に加えて配偶者の分の生活費も含んでいるために、養育費と比べて、一般的に高額になっています。

 

そうですから、

  • 別居後、離婚するまで→婚姻費用(別居中の生活費)の支払い
  • 離婚後、子供の成人まで→養育費の支払い

と整理できます。

(2019年7月8日追記)

婚姻費用については、できるだけ多く請求するには色々なテクニックがあります。

特に小さいお子様がいらっしゃる方はこちらの記事をご覧になって参考にしていただければ幸いです。

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逆に、あまりに高額すぎる婚姻費用を配偶者から請求されてお困りの方もいらっしゃると思います。

その場合にはこちらの記事をご覧ください。

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また、婚姻費用も養育費と同様、調停及び審判手続きで決まることになります。

ただし、調停で合意するのか、審判で裁判所に判断していただくかはこちらの記事を参考にしてください。

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4.面会交流について

 

⑴ 面会交流とは、子供と同居していない親が定期的に子供と交流する権利

 

面会交流とは、離婚後や別居中に、子供と同居していない親が、子供と会ったり、手紙や電話などを通して交流することを指します。

夫婦は離婚した場合、他人になりますが、子供と親との関係は一生涯続きます。

 

そして、子供は、別居や離婚を通して、愛する両親の別離という辛い経験をしますが、面会 交流を行うことによって、(両親は互いに別々に暮らしているけれども)双方の両親から愛されているという自覚を持つことができます

 

そのため、面会交流は、親が子供に会う権利であると同時に、子供が同居をしていない親に会う権利でもあるのです。

 

⑵ 面会交流の方法や回数などはどうやって決めるの?

 

面会交流を行うにあたっては、方法(引き渡しの方法や待ち合わせ場所、第三者を介するかどうかなど)回数(月何回かといった頻度)1回あたりの時間など様々なことを定めなくてはなりません。

 

面会交流についても、まずは夫婦間の話し合いで決めて、それが難しければ家庭裁判所に調停を申し立てて、調停委員を通して合意の形成を図るというのは同様です。

そして、面会交流の調停においても、家庭裁判所調査官が子供の意思や事情などを調査し、適切な面会交流の方法・条件等について検討することがあります。

 

万一、調停手続においても合意が形成されない場合には、審判手続に移行し、家庭裁判所が一切の事情をもとに、面会交流の方法や条件について判断を下します。

 

⑶ 家庭裁判所は面会交流に積極的

 

近時の家庭裁判所のスタンスとしては、面会交流に対して非常に積極的という傾向があります。

先ほど述べた通り、面会交流は、同居していない親に会うという子供の権利という側面もあり、子供の福祉にプラスに働くと考えられているからです。

 

そのため、子供の福祉を明らかに害するような事情がない限り、面会交流については積極的に認めるべき・広く行われるべきと考えられているのです。

ここで、「子供の福祉を明らかに害するような事情」とは、

  • DV
  • 子供を面会交流の際に連れ去ってしまう危険性
  • 子供に対する虐待

などが挙げられます。

 

また、子供が10歳以上の場合、子供が面会交流を拒否していることも面会交流を行うにつきマイナスの事情になります。

詳しくは、「子供が嫌がってても夫の求める面会交流は認められる?」をご覧ください。

 

そこで、弁護士としては、面会交流を求める場合には、面会交流調停を家庭裁判所に申し立てることをおすすめします。

詳しくは、「妻が子供に会わせてくれない!面会交流を実現するマル秘方法」をご覧ください。

 

⑷ 夫婦間の対立が激しい場合、試行的面会交流や第三者機関の活用も

 

夫婦間の対立が激しい場合(一方に不倫がある場合など)、子供と同居している親が、面会交流の実施に非協力的であったり、顔を合わせたくないから面会交流できないなどと拒否をされることがあります。

その場合、面会交流を支援するNPO法人などの第三者機関を利用したり、裁判所構内での試行的面会交流(マジックミラーのあるような部屋で、子供と非同居親の交流を他の関係者が観察します。)などを試み、徐々に面会交流に慣らしていくことも多いです。

(2019年7月8日追記)

最近は家庭裁判所も、面会交流で当事者間で直接の受け渡しが難しい場合、積極的に第三者機関を利用した面会交流を勧めることが多いです。

面会交流の第三者機関についてはこちらの記事をご参考にしてください。

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⑸ 詳細な条件を決めた場合、面会交流の約束を破ると間接強制も可。

 

もし調停や審判で、面会交流の日時・方法などについて詳細な取り決めをした場合、同居している親がその面会交流の約束を破り、面会交流に拒否したときには、間接強制といって罰金のようなものを支払う義務が同居親に生じます。

ただし、相当詳細である必要がありますので、ご注意ください。

 

このように面会交流の約束が守られない場合については、「元妻が面会交流の約束を守らない!そんなあなたのための面会交流のすすめ。」をご覧ください。

なお、養育費と面会交流の関係については、「養育費を払わないと面会交流ってできないの?意外に知らない関係」をご覧ください。

(2019年7月8日追記)

お子様との面会交流に関する手続き全般とよくある質問については、こちらの記事をご参考にしてください。

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