遠方の配偶者と離婚調停をする方法!電話会議・テレビ会議システムの利用

ご相談者様
妻が実家の佐賀に帰ってしまい、どうやって離婚を進めていけば良いのか分からなくて・・・

プロキオン法律事務所の弁護士の青木です。

別居する際に配偶者が地方にある実家に帰ってしまい、そのために離婚の話し合いを進められないと悩まれている方が多くいらっしゃいます。

 

そこで、今回は、配偶者が遠方に住んでいる場合でもスムーズに離婚調停を行う方法についてお伝えします。

 

1 離婚調停は相手の住んでいる地域の裁判所で行う

 

離婚調停の申立は、その離婚事件を扱える裁判所に申し立てを行う必要があります。

どの裁判所がその事件を扱えるのかという問題を、管轄(かんかつ)と言います。

 

離婚調停(正確には、「夫婦関係調整調停」と言います。)の管轄は、相手の住所地を圏内(管轄区域)としている家庭裁判所にあります。

平たく言えば、相手の現住所の近所にある家庭裁判所が、あなたの申し立てる離婚事件を処理することができます。

 

そこで、まずはWebサイトを開いて、相手が住んでいる場所を圏内(管轄区域)としている裁判所がどこなのかを確認しましょう。

例えば、「◯◯県 管轄」などで検索をしていただければ、「◯◯県内の管轄区域表」という題目のサイト(裁判所が運営)にたどり着くことができます。

 

例えば、「沖縄県 管轄」で検索をすると、「沖縄県内の管轄区域表」というサイトが上がっておりますので、そこをクリックすれば、沖縄県内の区域ごとに、そこを管轄とする裁判所の支部が判明します。

 

そうしたサイトを見て、どこの裁判所に申し立てをすれば良いのか確認をしましょう。

「〇〇裁判所〇〇支部」がその地域を管轄にしている場合は、「支部」に申し立てをしなければなりません。

 

裁判所が遠方なのであれば、申立自体は郵送でも可能です

 

2 遠方の裁判所でも原則として出席が必要

遠方の裁判所での調停でも、原則として、その裁判所に実際に赴いて出席をする必要があります

調停は月に1回程度、通常3回から7回程度続きますので、交通費もバカになりません。

何より、遠方であるほど、一日がかりか、宿泊も必要になってしまいます。

遠方の裁判所で調停を行う場合は、そこが最大のネックです。

 

もっとも、離婚調停を弁護士に依頼する場合は、通常、法律事務所と裁判所を電話会議システムで繋いで対応することができます

これについて、次にご説明します。

 

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3 電話会議システムを利用する方法

 

家事事件手続法258条1項が引用する同法54条1項は、

家庭裁判所は、当事者が遠隔の地に居住しているときその他相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、家事審判の手続の期日における手続(証拠調べを除く。)を行うことができる。

と定めています。

 

この、「家庭裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法」の一つが、電話会議システムのことです。

要するに法律事務所と家庭裁判所を電話会議システムでつないで、調停手続きを行うことができるのです。

 

そこで、弁護士に離婚調停の手続を依頼する場合は、法律事務所の会議室で、電話会議システムを利用して調停を行うことになります。

これにより、遠方の裁判所での調停に参加したことと同じ扱いになります。

 

実際に遠方の裁判所に赴くか、電話会議システムを利用するのかで、有利不利になることはありません

とても便利なシステムですので、私たちも、遠方の裁判所での調停については、基本的に電話会議システムを利用しています。

ご本人も、わざわざ遠方に赴く必要はないので、負担が大幅に減ります。

 

ただし、離婚調停が成立する期日、つまり最終の期日では、実際にその裁判所に赴いて調停の成立をさせる必要がありますので、注意しましょう。

 

4 最初の期日はテレビ会議システムも!

 

多くの裁判所では、最終期日を除く全ての期日で、電話会議システムの利用に応じてくれます。

 

ただし、稀に、初回期日だけは裁判所に出向くことを強く要請する裁判所もあります。

特に人口の少ない地方の裁判所がそういう対応をしているようです。

 

理由としては、いかに弁護士が相手であっても、裁判所としては顔が分からなければ、電話システムだけの調停だと不安ということの様です。

 

そうした場合でも、一つ対応策があります。

それは、テレビ会議システムを利用するという方法です。

テレビ会議システムは、法律事務所ではなく、近くの裁判所と、実際に調停が行われる遠方の裁判所とをテレビ会議システムでつなぎ、相互にテレビ画面で顔が分かる形で調停を行う方法です。

 

この方法によれば、裁判所側は、調停中、弁護士の顔も分かります。

調停の申立時にテレビ会議システムの利用の申請をすれば、通常は裁判所から拒否されません。

 

ですから、初回期日であっても、遠方の裁判所にはどうしても行きたくない!という事情があれば、こうしたテレビ会議システムを利用することも検討しましょう。

申立の際に申請をすれば、通常は応じてくれます。

 

こうした便利なシステムを上手く利用して、離婚調停をスムーズに進めていっていただければと思います。

 

弁護士のホンネ

相手の住所地とこちらの住所地がどのくらい遠ければ電話会議システムを利用できるのかというと、実ははっきりとした基準があるわけではありません。

もっとも、例えば、あなたが東京に住んでいる場合、埼玉、千葉、神奈川県内にある裁判所と電話会議システムを利用するのは認められません。一方、茨城や甲府の裁判所であれば認められる余地はあるでしょう。通勤圏内としてあり得るかどうか、というのが一つの目安になるかもしれません。

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