離婚ではいつの時点の財産を分与すればいいの?不動産所有者必見!

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財産の分与はいつの時点?
離婚する場合に婚姻期間に夫婦が共同で築き上げた財産(共有財産)を分与するというもの、それが財産分与です。
その理由は、改めて言うまでもないでしょう。夫婦がそれぞれ協力して築き上げたのでありますから、当然、それぞれに持分があります。そして、離婚により別々に生活を始める以上は、それを分割してそれぞれの固有の財産に変える必要があるのです。

1 いつの時点の財産が対象?

財産分与に取り組むとき、まず考えなければならないことは、「どのような資産があるか」ということでしょう。
基本的に、婚姻後に取得した財産は全て共有財産です。もちろん、相続や贈与を受けたなど、配偶者の寄与が通常考えられないものについては共有財産にはならないなどの例外はあります。しかし、働いて得た収入や、年金収入など、婚姻後の収入によって蓄積された口座残高は共有財産になります。

それでは、次に考えなければならないことは何でしょうか。
それは、「いつの時点の財産を共有財産として分与するべきなのか」ということです。つまり、財産分与の基準時はいつなのかということですね。
例えば、銀行口座は、毎月々変動があることが通常ですよね。給与収入や年金受給で入金があるし、公共料金や生活費による出金もあるでしょう。そして、場合によっては臨時ボーナスや臨時出費がありますから、いつの時点の残高を基準にすべきかというのは重要な問題です。

ここで、財産分与の意義について振り返ってみましょう。
財産分与は、婚姻期間中に夫婦が共同で築き上げた財産を、離婚時に分与するというものです。
そうすると、「共同で築き上げた」といえる時点が、まさに財産分与の基準時ということになります。
共に築き上げた場合というのは、つまり、その財産の維持や形成に配偶者が寄与できた場合ということです。
したがって、同居している場合は、通常協力し合って生活をしていることになりますから(家庭内別居の場合はまた別ですが)、その期間に財産を築き上げたものは、基本的に「共同で築き上げた」といえるでしょう。
一方、夫婦が別居してからは、協力し合った生活を行っていない以上、その後の収入に他方の配偶者は寄与をしていません。ですので、その後に獲得した財産は財産分与の対象になりませんね。

そういうわけですから、別居をしてその後離婚に至った場合は、別居時点の財産を基準とすることになります。つまり、財産分与の基準時は別居時ということです。この場合、何年何月何日に別居が開始したかどうかが、重要な点になってきますので、忘れないようにしておきましょう。
なお、別居をせずに離婚をして、その後に別々に生活を始めた場合は、離婚時が基準となります

2 年金受給の場合は違う!

さて、先ほどは財産分与の基準時は別居時と述べましたが、実は、年金受給者の場合は異なってきます。
というのは、年金収入というのは、現役時代の収入から年金保険料を納めた結果として得られるものです。そして、現役時代の収入というのは、当時同居していた配偶者も寄与しているとみなされます。
そうすると、年金受給はいわば現役時代の収入の一部後払いの性質があるため、これにより蓄積された財産は、配偶者の寄与がある共有財産となります。
ですから、年金受給者にとって、年金受給によって蓄積された財産の分与基準時は、別居時ではなく、離婚時ということになります(平成17年11月29日の東京地方裁判所判決など)。

3 不動産、株式など、時価評価すべきものがある場合は違う!

ところで、不動産や株式については、財産分与の対象となることが分かっていても、日々その時価が変わるものです。
これについては、いつの時点の時価を基準とすべきなのかという問題があります。

どの不動産やどの株式が財産分与の対象になるのかについては、依然として別居時が基準となるのが原則です。しかし、その財産の時価評価の基準時をどうするかは別に考える必要があるのです。
これについて裁判所は、直近、すなわち離婚時を基準にすべきとしています(裁判で離婚となる場合は事実審の口頭弁論終結時)。
一緒に築き上げた財産を分与する以上は、何を分与するかについては別居時を基準とすることが合理的でしょう。しかしながら、財産分与自体は離婚時になされるわけです。そういうことで、不動産や株価の時価評価については、別居時ではなく、離婚時が基準となります。

《弁護士のひとこと》

高齢者間の離婚も以前に増しています。第二の人生は老後半ばを過ぎてからでも可能です。
そういうわけですから、高齢者の方々にとっても、離婚をお考えの場合は、この財産分与の基準時には注意された方が良いでしょう。
また、時価評価の問題は実際上重要です。離婚の交渉などが長引けば、不動産についてその分時価が下がり続けますから、財産分与を請求する側にとっては、不利になることがあり得るでしょう。それを念頭に交渉をする必要が出てきます。

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弁護士 青木 亮祐(あおき りょうすけ)

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