本当?元妻が新しい恋人と再婚しても、養育費は払い続けなきゃいけないの!?

(2023年11月13日更新)

元妻が親権をもった場合、離婚後も支払い続けなきゃいけない養育費

ところが、元妻が、どうやら再婚し、子どもと再婚相手と一緒に暮らしているらしい・・・
元妻が再婚したことは、お子様方との面会交流の最中にお子様から漏らされたり、共通の知人を通じて知ったりということが多いです。

再婚したのであれば、元妻もお金に余裕があるのではと思う方も多いのでは。

このような場合でも、養育費は支払い続けなければいけないのでしょうか??

それとも、再婚したのだから、養育費はもう支払わなくて良いのでしょうか?

1.原則として、養育費の支払い義務はなくなりません!

残念ながら、元妻が再婚しただけでは、原則として養育費の支払い義務はなくなりません

なぜかというと、あなたは子どもの父親である以上、離婚後も子どもを扶養する義務があります。この扶養義務があるから、養育費を支払う必要があるのです。

ところが、元妻が再婚しても、元妻の連れ子と再婚相手は当然に親子になるわけではありません。
親子でない以上、再婚相手には、元妻の連れ子を扶養する義務はありません。
したがいまして、親であるあなたが引き続き養育費を支払う必要があります。

例えば、離婚の際に、調停調書や公正証書などで養育費の取り決めを行なった場合、夫が、元妻が再婚したからといって勝手に養育費の支払いをやめると、元妻から養育費の未払いに対して夫の給与や銀行の預貯金など差し押さえをされるリスクがあります。
そのため、元妻が再婚したとしても、勝手に養育費の支払いをやめることはお勧めできません。

2.ただし、再婚相手と子どもが養子縁組している場合は、養育費は支払わなくてOKに!

ただし、子どもと再婚相手が養子縁組をして親子関係が生じた場合には、例外的に元夫の養育費の支払い義務はなくなります!
養子縁組をすれば、子どもと再婚相手が法律的に親子になり、再婚相手が子どもの扶養義務を負うことになります。

そして、一般的には、同居している再婚相手(養親)の方が、一次的に扶養義務を負いますので、二次的な扶養義務者の元夫は養育費を支払わなくて済むのです。

(2023年11月13日更新)

昨今の高等裁判所の裁判例(東京高等裁判所平成30年3月19日決定(平成30年(ラ)73号)も、「両親の離婚後,親権者である一方の親が再婚したことに伴い,その親権に服する子が親権者の再婚相手と養子縁組をした場合,当該子の扶養義務は,第1次的には親権者及び養親となった再婚相手が負うべきものであり,親権者及び養親がその資力の点で十分に扶養義務を履行できないときに限り,第2次的に実親が負担すべきことになると解される。」と判示しています。

これに対する許可抗告に対して、最高裁判所平成30年6月28日決定(平成30年(許)4号)は東京高等裁判所の判断を維持していますので、最高裁も同様の考え方に立っています。

ただし、上記の判旨にも示されている通り、再婚相手が収入がなかったり、労働できない状態であると、元夫が引き続き子どもの養育費を支払わなくてはならないことがありますので注意してください。

もっとも、私の経験ですと、元夫が再婚相手より年収が高額であったり、再婚相手の年収が平均より低いくらい程度では、家庭裁判所は、養育費の支払いを免除することを認めてくれる傾向にあります。

再婚相手が生活保護を受給中などの特別の事情がある場合には難しいかもしれませんが、子供が元妻の再婚相手と養子縁組をした場合には。積極的に養育費の免除を主張しても良いように思われます。

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3.養子縁組したかどうかを知るには?

養子縁組をしたかどうかは、戸籍を確認すればわかります
直系尊属(親、祖父母)であれば、戸籍法上、子供の戸籍謄本を取得することができます。

また、その場合には、弁護士に養育費の減額交渉や調停を依頼して、弁護士の権限(職務上請求)で戸籍を取得して、養子縁組の有無を確認することができます
なお、離婚の際に、あなたが親権者となり、元妻が監護権者となった場合には、養子縁組の同意をするかどうかは親権者であるあなたに権利があります。

4.公正証書や調停で養育費が決まった場合には、必ず養育費減額調停を!

ちなみに、公正証書や調停で養育費が決まっている場合は、子どもが再婚相手と養子縁組したとしても、従前の養育費の決まりは引き続き効果があります。

これを覆して、養育費の支払い義務がないと元妻に認めさせるには、改めて公正証書などで合意するか、養育費の減額調停を成立させる必要があるのです。

再婚相手と子どもが養子縁組したからといって、養育費を無断で支払わなくなると、最悪の場合、調停調書や公正証書を盾に取られて、給料や財産などが差し押さえられる可能性がありますので、注意しましょう。

まずは元妻に養育費支払い免除について口頭やメール、LINEなどで交渉して、免除ということでご本人様間で合意ができればOKです。
もっともご本人様間で話し合いが難しかったり、合意がまとまらない場合には、元妻に対して養育費減額調停をできる限り早めに申立しましょう。
養育費の減額または免除が認められるのは、調停申立て時と判断されるケースが多いことから、できる限り早めに申し立てをした方がベターです。

弁護士のホンネ 

 本文中にも記載した通り、養育費減額のご依頼を受けて、元妻(元夫)が再婚した場合には、まずは元妻の戸籍を職務上請求で取得します。
その上で、元妻相手に内容証明を出したり、調停を申し立てたりと戦略を考えていきます。
再婚をしたと聞いても慌てず、しっかりと戦略を立てて対応していきましょう。再婚や養子縁組だけでなく、元妻が仕事についているかなど、離婚当時と事情に変更があれば、養育費の金額を変更できる可能性が十分にあります。

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