面会交流を強制的に実現させる条件とは?

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強制的に面会交流する条件とは?

1 別居中の夫が子どもと会うための手段。面会交流!

横浜の弁護士の青木です。
妻が子どもを連れて実家に帰ってしまう。
こうしたことは本当によくあります。特に夫としては妻の決断の時期というのが予測がつかないことが多く、こういうことは夫にとっては突然やってきます。

しかし、既に会話も少なくなりぎこちなくなった妻だけが出て行くのならまだしも、子どもまで連れて行かれるのは納得がいかない。
そういう境遇の夫として、子どもに会うために取りうる手段が、面会交流の申立というものです。
これは通常、子どもの現住所地を管轄している家庭裁判所に申立てをします。妻が子どもを連れて実家に戻っている場合は、その妻の住所地が子どもの現住所地となります。

面会交流というのは、要するに、子どもと会う機会を設けることを言いますが、どのくらいの頻度で、どのくらいの時間、どこの場所で行うかというのを、最初に調停において話し合います。
ここで双方が条件面で合意ができれば、別居期間中の子どもとの面会条件が決まりますが、合意ができなかった場合は、裁判所がその権限で決めることになります。

調停や裁判所の審判で決まる、平均的な条項は以下のようなものです。

一 面会日、面会時間
(1)毎月一回、日曜日の午後1時から午後5時まで
(2)上記(1)とは別に、毎年、8月10日から8月31日までの間に、二泊三日程度の宿泊を伴う面会交流
(3)上記(1)の面会実施日は、前月末日までに母と父が協議して定めるが、協議が整わない場合は、第三日曜日とする。
(4)上記(2)の面会日は、8月7日までに父と母が協議して定めるが、協議が整わない場合には、8月10日から13日までとし、待ち合わせ場所及び方法は、二項のとおりとする。
二 待ち合わせ場所及び方法
(1)待ち合わせ場所
JR横浜駅改札口を出た構内中央付近
(2)待ち合わせ方法
母が、上記面会交流開始時刻に未成年者を待ち合わせ場所に連れて行き、未成年者を引き渡し、父が面会終了時刻に待ち合わせ場所まで未成年者を連れて来て引き渡す。

2 面会交流の条項は具体的に!

さて、これをお読みになっている方の中には、どうしてこんなに面会時間や場所、方法が具体的なのだろうと思われなかったでしょうか。

これにははっきりとした理由があります。

この面会交流ですが、調停や審判で条項が決まれば、強制的にこれを実現できることがあります。無理やり執行官が子どもを連れ去って夫側に渡す、なんてことはしませんが、妻が決められた条件通りに面会交流に協力をしない場合、違反をする度に夫にお金を払わなければならないとすることができるのです(これを間接強制といいます。)。
これによって、お金を払いたくない妻としては、夫に子どもを合わせることに協力することになるだろうと期待できるわけです。
相場的には、一回違反するごとに、2万円から5万円といったところです。具体的な金額は、夫が強制執行の申立てをした先の裁判所が決定します。

さて、このように、子どもとの面会交流は間接強制という名の強制執行が認められるのですが、ちょっと注意が必要なことがあります。
それが、面会日時や場所、方法を具体的に決めておかないといけないということです。そうしなければ、裁判所は強制執行を認めないのです。
それは、ある程度具体的でなければ、妻が何をもって約束や命令に違反したかをはっきり判断することができないということがあるためです。

最高裁判所はこれについて、「面会交流の日時又は頻度、各回の面会交流時間の長さ、子の引渡しの方法等が具体的に定められているなど監護親がすべき給付の特定に欠けることがないといえる場合は」、強制執行ができるとしています(最高裁平成25年3月28日決定など)。

それでは、実際にどの程度に具体的にであれば、強制執行が可能なのでしょうか。

裁判例や最高裁判例を基準とすると、先ほど1であげた面会交流の条項例であれば、強制執行できることに間違いないでしょう。妻がなさなければならないことが特定されていると言えます。

平成26年3月13日の東京高等裁判所の決定では、一見抽象的とも思える次の内容でも、強制執行を認めました。

(1)頻度及び日程
2ヶ月に1回。ただし、毎偶数月の第一日曜日とし、当該第一日曜日に面会が実施されなかったときは、その月の第ニ日曜日とし、当該第一日曜日と第二日曜日のいずれにも面会が実施されなかったときは、その月の第三日曜日とする。
(2)時間
母が父に対し未成年者らを引き渡してから未成年者らの引渡しを受けるまでの時間を、面会一回につき二時間とする。ただし、申立人の判断により短縮することを妨げない。
(3)面会交流の方法
⚫県▲市内において面会を実施し、父は、面会交流を支援する第三者を立ち合わせることができる。第三者の立ち会いに要する費用は、父が負担する。母は面会に立ち会わない。

どうでしょうか。日程や時間については、よく読めばかなり特定されているとは言えそうですね。一方、引き渡しの場所については市内までしか特定されていませんので、そこが抽象的と言えそうですが、この程度であっても、強制執行は認められています。

ところが、次のような場合について、最高裁平成25年3月28日決定は、強制執行を認めませんでした。

(1) 母は、父に対し、長男と、2ヶ月に1回程度、原則として第3土曜日の翌日に、半日程度(原則として午前11時から午後5時まで)面接をすることを認める。ただし、最初は1時間程度から始めることとし、長男の様子を見ながら徐々に時間を延ばすこととする。
(2)母は、前項に定める面接の開始時に⚫県▲市の▪通りの喫茶店の前で長男を父に合わせ、父は終了時間に同場所において長男を母に引き渡すことを当面の原則とする。ただし、面接交渉の具体的な日時、場所、方法等は、子の福祉に慎重に配慮して、父と母の間で協議して定める。
(以下略)

最高裁がこのとき注目したのは、「2ヶ月に1回程度」という頻度の曖昧さ、「半日程度」という面会交流時間の曖昧さ、そして「長男の様子を見ながら徐々に時間を延ばす」という、特定がなされていない点です。
そして最高裁は、こうした取り決めは、面会交流の大枠を定めたものに過ぎず、その具体的な内容は、父と母とのその後の協議で定めることを予定しているものであると述べました。

このように、一見具体的と思えても、その後の協議を予定している風に読める場合、強制執行を認められるほどに具体的ではないとみなされてしまう可能性があります。

そういうわけですから、調停で取り決めを行う場合は、1で述べた程度に具体的な内容で合意すべきでしょう。そして、面会交流の条項を裁判所に判断してもらう場合も、できるだけ具体的なものにしてもらうよう、根気強く主張することが必要となります。

《弁護士のひとこと》

さて、今回は判例も紹介しながら少々踏み込んだものになりましたが、実は非常に大切なものです。いくら面会交流の条項を裁判所に判断してもらったとしても、それに強制力が伴わなければ、絵に描いた餅となってしまいます。それではせっかく裁判所に解決を求めた意味がありませんね。
そして、裁判所は、必ずしも強制執行ができるように条項を決めてくれるわけではありません。その後の父母間の協議に委ねることもあります。そういうわけですから、強制執行を念頭に置く場合は、できる限り条項を具体的にしてもらうよう、こちらが積極的に主張する必要があります。そのことを、ひとまず押さえておきましょう。

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